私、ダムって大嫌いなんです。カヌーツーリングの妨げになるからだけではなく、生物や土砂といった自然のサイクルを分断します。
工事の受注では談合が行われることが普通で、完成しても、無用の長物と化すものが過半数。
そのような、ダム反対の立場から作成したページです。
以下は『日本の電気料金はなぜ高い 揚水発電がいらない理由』 田中優著 北斗出版(初版2000/7/15) に記述してあった内容をベースにしてあります。実に興味深い本でした。
数値等はそのまま引用しましたので、現在のものとは異なります。
うまく文章にまとめられなかったので、箇条書きにしました。
ダム論
多目的ダムとは、治水と利水を兼ね備えたダムである。治水のためにはダムはカラの状態にしておけば最大の効果を得られるが、利水のためには、満水の方がよく、両者は矛盾している。結局は妥協点を探って運用することになるが、往々にして利水が優先され、大雨の時にはダムを大きく開放しなければならない、という役立たずの場合も少なくない。
岡山県 湯原ダム
ダムの堆砂(たいしゃ)は、バックウォーターに差し掛かるところから始まり、そこからジワジワとダムの根本へ進出していく。堆積した土砂は、あとから来た水の妨げになるので、洪水があるとダム上流部では氾濫が起きやすくなる。これに起因する災害は、日本でも多発。排砂ゲートを設けたところで、5km〜10km先の堆砂を押し流すことが可能だろうか?
日本の場合、堆砂は毎年徐々に増えるというよりも、記録的な大雨の際に流入するものの方が、圧倒的に多い。つまり、毎年計画的に浚渫したとしても、効果は小さいということ。
ダムによる災害例
1975年、台風で川南省に記録的な大雨が降った。上流部の板橋ダムで排水ゲートが土砂で詰まって越流し、石漫灘ダムは奔流に襲われ、続けざまに両ダムが崩壊。下流のダムもドミノ倒しに崩壊し、そのダムの数なんと62。下流には62のダムの水が押し寄せ、大洪水となった。その水量は、日本最大の貯水量のある奥只見ダムと同じ6億立方メートルという。洪水で亡くなったのは85,000人。その後も、壊れなかったダムによってなかなか水がひかず、生き残った200万人もの人が、点在する屋根などの上で救助を待つこととなった。壊れなかった下流のダムを爆破するなどして排水しても、水がひくまでに2週間もかかり、飢えや伝染病により、さらに145,000人もの方が命を落とした。合計の死者は23万人。中国はこの事故を正式には認めておらず、世界の教訓とはされていない。
ダムの事故史における最大のものは、イタリアのバイオントダムでのもの。ダムでは、大きな水圧が岩盤に浸透し、地震が引き起こされることがある。この「ダム誘発地震」は、経験的には周囲25kmの範囲で、数日から数年の間、地震を頻発させるようだ(ダム湖が地震を減らしたという例も報告されている)。それ以降も長期にわたって、地盤を徐々に弱らせていく。バイオントダムでは、1960年の貯水開始に伴って地震が頻発するようになり、ついには貯水池脇の山から3億5千万立方メートルの岩石が地滑りし、貯水池になだれ込んだ。これによって起こった津波が、ダムを110mもの高さで乗り越え、下流の村を押し流し、2,600名が犠牲になったという。
長良川河口堰
揚水発電
揚水発電とは、ダムを上下に二つ造り、電力が不足する昼間は上池から下池へ水を落として発電し、電気が余る夜間は電気を使って下池から上池に水を送るということを繰り返すものである。ダムの付近には大河が流れている必要はない。建設には10年以上を要するから、その間にダム湖が一杯になるだけの、小さな流れ込みさえあればいいことになる。あとはその水を上下に移動させるだけで済むので、水の使い回しがきくのだ。このことは、建設族の役人には好都合で、日本中の河川という河川でダム開発をし尽くしても、揚水発電なら、またまたダムを造る場所が生まれたということを意味する。資源エネルギー庁のHPには、「揚水発電は489の適地のうち、未だ29箇所しか開発されていない」と書かれていた。
水力発電で得られるエネルギーは、「水量×高低差」で表される。揚水発電で言えば、2つのダムの標高差ということになる。したがって、上のダムは高低差を稼ぐために、とてつもない山奥に造られるようになり、人知れず建設が進んでいく。
揚水発電では、トータルとしては電力を生み出すことはなく、水の汲み上げに電力を消費するために、逆に、30%もの電力を損失する。したがってこれは、電力ロスの大きなバッテリーに過ぎない。
揚水発電の建設費は、原発と同等か、それ以上に必要。
電力の損失が大きく、建設費も掛かるため、電気の自由化が進む諸外国では、ほとんど揚水発電設備は建設されていない。こんなものを造ると、価格競争の妨げになるからである。
揚水発電の必要性
揚水発電が必要な理由は、主に、「夜間の余剰電力の有効活用」「夏場のピーク需要に対応」の2点とされている。
前者は、もともと余剰電力を発生させなければいいだけのこと。にもかかわらず余ってしまうのは、出力を落とすことができない硬直型の発電設備(原発・石炭火力発電)が多いためである。よりによってこの2つを電力供給のベースにしてしまったために、夜間電力が余るようになったのだ。すなわち、電力行政のミスである。(硬直型には、流れ込み式水力発電(ダム湖を持たないもの)も含まれるが、需要のうちの6.8%しか賄っていないため、省略した) 出力を落とせない硬直型発電所を造るから、余剰が発生し、揚水式で吸収させることが必要になる、という図式が成り立つ。
後者。東京電力についていえば、年間2日の9時間だけ、電力需要が供給を上回る。これは、日較差を小さくすることで解消ができる。わずか9時間のために設備を増強するよりは、需要をコントロールすべきであろう。
電力会社の問題点
kWhあたりの発電単価は、原子力5.9円・ガス火力6.4円・石炭火力6.5円・石油火力10.2円・水力13.6円(99年、資源エネルギー庁)。この数値は、原発を安く見せるために恣意的に操作された疑いが高い。ここでいう水力には、揚水発電分が含まれている。揚水発電のコストは正確な数値が発表されていないものの、30円程度と考えられている。一説には、電源開発株式会社(電発)が揚水発電電気を60円前後で売却しているという話もある。しかも、夜間水を汲み上げる際に使う電力を、電発は無償で供給を受けているのに、である。
世界的に見れば、最も安い電気は、常に水力発電であり、資源エネルギー庁のような数値はあり得ない。
国内の全発電設備の年間平均稼働率(負荷率)は58%にすぎない。ちなみに、北欧3国平均の負荷率は72%、ドイツ70%、他の欧州諸国も65%となっている。
国内では、家庭での電力需要は23%
家庭での電気料金は多く使うほど割高になっていくが、産業向けの料金制度は、その逆。なぜか、使えば使うほど単価が安くなっていくようになっている。
ピーク時の電力は、9割が産業向け需要。さらに、ピーク消費の35%が冷房需要と推測されている。家庭での省エネも大切だが、産業向け電力料金の制度を改める(ピーク時間の料金を高くし、使用電力が大きいほど単価も高くなるようにする)方がはるかに効果が高い。
電力会社が得てもよい電力料金は、計画に基づいた原価に報酬率(2000年は4.4%)を上乗せした「総括原価」と定められている。原価を恣意的に膨らませれば、電力料金も吊り上げることができるため、電力会社の利益を増やすことが可能となる。実施されている原価を膨らます方法として、過大な電力需要見積・巨額を必要とする硬直型発電の推進政策・赤字事業の原価繰り入れ・建設仮勘定の原価への繰り入れといったものがある。
設備の建設を始めれば、それに要した費用(建設仮勘定)の半分を原価に繰り入れることが可能となっている。これは、着手すれば建設の投資を回収し、報酬も手にすることができることを意味し、過剰な設備投資を生み出すことを助長してきた。巨額のものを造れば造るほど、おいしい思いをできたというわけだ。
カリフォルニア州の電力会社では、家庭が省エネ型の家電製品を購入する場合、電力会社自らが補助金を支給している。冷蔵庫の場合、最大で250ドルも助成される。それだけ助成しても、発電所を増設するコストよりは安い、という発想である。このように、供給力の範囲内に需要をコントロールしよう、というのが、世界の流れである。
日本で自然エネルギーによる発電が普及しないのは、電力会社の買い取り価格が安すぎるためである。ピーク時に他の電力会社からはkWhあたり27円以上も出して購入するくせに、同じくピーク時である昼間に発電する太陽光発電による電気の買い取り価格は、平均18円。風力にいたっては11.8円でしかない。欧米各国では、自然エネルギーを優先的に優遇価格で買い取る制度が整いつつあるというが、それとは逆のことが、日本で行われている。
(ここまでが本の内容です)
2002年、黒部ダムの排砂ゲートが開けられました。排砂ゲートとは、ダムに貯まった土砂を、ダムに貯めた水と一緒に押し流してしまうためのゲートです。この排砂によって、富山湾の色は変わり、海産物は大きなダメージを受けました。死の海と化したのです。ただの土砂が流れ出ただけではなかったのです。
きれいな川がなくなっていく
花崗岩は風化して、通常は「カオリナイト」になりますが、ダムの底には酸素が少ないため、嫌気性のバクテリアが繁殖しています。それらが、花崗岩を「スメクタイト」に変えてしまいます。スメクタイトとは粘土鉱物の一種であり、水中の有機物を吸着することで膨化し、バクテリアの死骸と結びついて容易にヘドロ化します。これは、魚のエラに付着すると呼吸困難を引き起こし、わずか20分で、魚を死に至らしめます。これが富山湾に流入したのです。
ダムとは、死の泥を生み出すものなのです。
富山湾の漁業業者は、訴えを起こしていますが、その判決を待たずに、黒部川には排砂ゲートを持つ別のダムの建設が計画されています。 (以上、報道番組より)
大雨が降ってダムの計画貯水量を超えることが予想される場合、ダムは開放しなければ水圧で破壊されてしまいます。その下流にもダムが連なっている場合は、上流のダム以上の水を放流しなければ、こちらのダムも壊れてしまいます。したがって、下へ行くほど、加速度的に大量の水が流れる事になります。このようなケースでは、ダムが無いときよりも、付近の住民は洪水の危険にさらされることになります。
また、それが活断層上にあった場合、ダムが地震で崩壊してしまう危険性があります。建設中の徳山ダム(揖斐川上流)など、まさにそれです。明治24年、根尾谷断層の活動により、マグニチュード8.0の濃尾地震が起きました。地震断層観察館まであります。その隣村にダムが完成しつつあるのです。同ダムの、2000年3月の時点での発電コストは50円/kWhを超えていると言われています。中部電力が、徳山ダムを運用する電発に対して、「そんな高い電気はいりません」という可能性も否定できず、本当にこのダムが必要なのか、治水・利水の面でも議論が盛んになっています。 というか、即刻中止すべきでしょ!
上記の内容について、ある方から内容の誤りについての指摘がありました。上記は書籍等の内容ですので、それを修正することが出来ませんので、以下にその内容を記しておきます。
- 黒部ダムには排砂ゲートはなく、あるのは出し平ダムと宇奈月ダム。報道で騒がれたのは宇奈月ダムの最初の排砂で、3年分の土砂を排出したもの。以後毎年の排砂では大きな問題は発生していない。
- バイオントダムの事故は地震によるものではなく、事前の調査が不十分で、地滑り対策をしなかったことが原因。貯水に伴い、地滑りの兆候が現れたのに、それをも無視した。
マスコミ報道より
2010/7/19 毎日新聞 社説
国土交通省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は、ダム中心のこれまでの治水行政を見直す提言をまとめた。コストと環境面を重視し、ダム頼みだった治水対策を見直す今回の案は大いに歓迎したい。
提言によれば今後、ダム本体を建設するにはダム以外の治水対策とコスト、安全度、環境への影響などを比較検討し、クリアしなくてはならない。国交省が最終的には判断するが、事業主体が提出する報告書が不十分な場合はやり直しを要請できる。検証の対象になるのは全国84カ所のダム。事業主体の国や水資源機構、さらには53の補助ダムを抱える30道府県は、こうした手続きを経て建設の是非を判断することになる。
「脱ダム」の治水対策は25の手法を提言では掲げている。住宅地域を囲む輪中堤や道路を兼ねた二重堤や遊水池、放水路の建設。さらに保水容量を増すため現在あるダムや堤防をかさ上げしたり、流下能力を向上させるための河道の掘削や、上流の森林を保全し、保水能力を高めることも手法のひとつに加えた。都市部では雨水貯留施設の建設や透水性の舗装、浸水の恐れが高い地域の土地利用の規制なども有効だ。これらを組み合わせて脱ダム治水対策は立案されることになる。
2008/11/17 朝日放送 ムーブ
大滝ダム続報
- 1959年の伊勢湾台風が川上村を襲い、山津波で60人が生き埋めになったことから、治水のために1962年に大滝ダム建設計画が着手された。
- 紀ノ川水系大滝ダムは治水・利水・発電用多目的ダムで、総貯水量8400万d、堤防高100m
- 計画当初予算230億円 建設費総額3640億円でいまだ未完成
- 2003/3本体工事が完成し、試験貯水を開始したが、間もなく付近で地滑りが始まり、日本ダム建設史上最大の規模となった。ダム上流4kmにある川上村白屋地区では37世帯77人全員が仮設住宅への集団避難を余儀なくされた。この地区への交通のために川に架けられた白屋橋(建設費23億円)は無用の長物と化した。
- 同地区での地滑り対策は、
1.押さえ盛土:大量の土砂の重みで地滑りを食い止めようというもの
2.アンカー
3.集水井戸:地下水を集めて別の場所に排水するもので、70mの深さがあり、同地区に6本設置
など- 京都大学名誉教授(地質学)は、地滑りを食い止めるためにはこの3倍の規模の対策が必要であると話している。
- 2006年、国交省は大滝ダム斜面5カ所を再調査したところ、大滝地区・迫地区に地滑り危険地帯を発見し、新たな対策工事を近々始める予定。
- 国交省は計画から50年となる2012年に、二度目の試験貯水を計画中。
2005/12/12/9 読売新聞
滋賀県東近江市の愛知川上流に農水省が計画した永源寺第二ダムの是非をめぐり、大阪高裁は実質的に計画自体を取り消す画期的な判断を示した。
巨額に費用がかかり、自然環境への影響も大きいダム計画を見直す動きは、近年、全国的な広がりを見せている。国交省が初めて計画の中止を決めたのは1996年で、以降これまでに全国99箇所にのぼる。永源寺第二ダムのような農業用ダムについても、農水省はこの10年間に全国21箇所の計画を中止している。背景には、無駄な公共事業の見直し論議が活発になったのに加え、97年の河川法改正でダムなど河川整備計画の策定には環境保護に配慮し、流域住民の意見を尊重するよう明記されたことがある。
2005/9/13 神戸新聞
治水と利水を目的として建設計画が進行中であった熊本県の川辺川ダム。2003年5月に利水事業をめぐる訴訟で農水省が敗訴。そのため、新利水計画の策定が必要になったものの、この日、新利水計画の概要を示すのは困難、と回答。これを受け、国交省はダム建設に伴う土地と漁業権の強制収用を取り下げると見られる。そうなれば、ダム本体着工の見通しは立たなくなる。
2005/7/1 読売新聞
淀川水系の2ダムが建設中止になった。余野川ダム(箕面市)と大戸川ダム(大津市)で、これらのダムには用地買収費などですでに940億円を投入していたが、水需要の低迷などにより建設の必要性がなくなったと判断した。国直轄のダムが、着工後に中止となるのはこれが初めて。全国の脱ダムの流れが国交省の判断に影響を与えたと言え、ダム行政は大きな転換点を迎えた。
国自体もダム撤退の決断をしたことにより、全国のダム計画に影響を与えることは必至である。
2004/7/27 毎日放送
京都の嵐山を流れる桂川に、4年前から藻が大量繁殖するようになりました。この藻は不快な臭いを発し、景観を損ない、貸しボートのオールにも絡まるので、地元観光産業の方にとっては厄介な代物となっています。
藻の繁殖原因を、地元の方は、6年前に完成した日吉ダムの影響と考えているようです。ダムによって水量が安定したことにより、藻が繁殖しやすい環境になったと。
ダムを管理する国土交通省側ではまだ因果関係を調査しておらず、これから調査を始めるそうです。
2004/7/27 毎日放送
オオサンショウウオが大量繁殖している河川が、最近目につくらしいです。オオサンショウウオには爪がなく、大水が出れば下流へ流されます。堰堤から落ちれば、それをよじ登ることができないので、下流にどんどん溜まっていくことになります。
そこへ養殖イワナとかを放流すると、オオサンショウウオに過半数を食べられてしまうこともあるそうです。
こんなところにも堰堤の弊害があるんですね・・・
古座川には1mを超えるオオサンショウウオが繁殖しているそうな。
特別天然記念物なので、見つけたとしても触ることさえ許されないので、ご注意を。
2003/12/17 神戸新聞
総合資源エネルギー調査会が発表した発電コストが掲載されていました。前述の書籍内の数値と比較すると、さほど変わりはありません。揚水発電コストも伏せられたままです。
原子力5.6円 石炭火力5.9円 液化天然ガス火力6.3円 石油火力10.9円 水力13.6円
大滝ダムの続報
・ 試験貯水したダムの水中にカメラを沈めたところ、多数の亀裂が発見されました。
・ 白屋地区の全戸移転が決定しました。ダムの水を抜き、調査を開始するそうです。
2003/6/11 神戸新聞
大滝ダムの続報
大滝ダムにはこれまで、43年の歳月と3200億円の巨費が投じられてきました。ダムの本体工事着工は1987年です。
約30年前、ダム建設に反対していた白屋地区住民が、独自に2名の専門家に調査依頼した結論は、「大滝ダム建設によって白屋地区を中心とする川上村の地滑りが拡大することは必至。同地区は岩盤上に堆積した地層の上にあり、地下水などの影響で、地滑りが起こりやすい地質であるため、ダム建設は危険である。」というもので、まさにその通りのことが今起こっています。
県が実施した当時の調査では、「水没する予定の斜面で地滑りが起きる可能性があり、予防対策が必要。」ということでした。この提言をもとに、水没する場所では対策をとったものの、水没しないところでは殆ど未対策のままでした。
同地区住民は5/12、村とダム管理事務所を相手に、全戸移転を求める要望書を提出しました。
2003/5/14
工事中の大滝ダム
奈良吉野川沿いにある奈良県川上村白屋地区で、ひび割れが続発しました。民家の壁・塀・道路などに、幅1〜2cmのひびができ、それは徐々に拡大しています。調査の結果、地滑りの初期段階と見なされました。
この地区の4km下流には、大滝ダムがあります。大滝ダムは本体工事を終え、最近になって試験的に貯水を始めました。
ダムが貯水を始めると、壁面から水の一部が染み込み、周囲の地盤に圧力がかかります。それと同時に、地下水の水位も上昇し、地面にひびが入ったり、地滑りが起こるのです。大滝ダムでは一時貯水を中断し、警戒態勢を整えるそうです。
2003/1月?
球磨川が流れる熊本県坂本村に、発電目的の荒瀬ダムがあります。このダムの運用が始まって50年。球磨川の水質は悪化し、また、放水時にはそれに伴う振動と騒音に、村民は苦しめられてきました。放水時には襖が暴れ、家の壁にはひび割れもできています。
でも、県はダムと振動の因果関係を認めませんでした。戦後の切迫した電力事情の方が優先されたのです。
ところが、川辺川ダムの問題の高まりが、荒瀬ダムの状況を大きく変えました。
荒瀬ダムの水利権が2003年3月の期限切れが間近に迫ってきた頃(水利権を更新しなければ、ダムの運転を継続できなくなる)、坂本村議会はダム継続反対を全員一致で決定。ダム撤去を県知事に申し入れました。球磨川漁協もこれに続き、村民の意思はうねりとなったのです。
そして知事の決定は・・・ 「荒瀬ダムは2010年3月31日までの7年継続。その後、ただちに撤去する。」というの。国内初のダム撤去が決まったのです。
はたしてダム行政の転換点となるでしょうか。