赤木川カヌーツーリング

あかぎがわ 和歌山県熊野川町 (熊野川の支流)
流域内人口密度 36人/平方キロ (新宮川水系)
リアルタイム水量 上長井 0.4m以上
駐車場 小口 オートキャンプ場入り口付近の道路脇に10台程度。
和田 4WD5台。
長井 4WD停め放題。2駆は15台くらい可。
上地 赤木の堰の横に4台程度。
椋ノ井沈下橋 一台のみ。
トイレ 小口 公営キャンプ場のものを拝借
長井 仮設トイレ数カ所・集会所横にきれいなトイレ
上地 仮設トイレ1台
買い出し R168を本宮方面に2kmのところにA-COOP
温泉 雲取温泉(400円) 新宮方面で最寄りの温泉
熊野川温泉さつき(450円) 閉館されたかも
わたらせ温泉(700円+ロッカー100円) 近畿最大の露天風呂
湯の峰温泉(つぼ湯260円・薬湯300円) ともに石鹸類使用禁止
ひとこと ライニングダウンなしで下れる水量がある場合も。距離はないが、超清流級では希有な存在。

小口〜上地(2001年5月19〜20日)

 2013年春現在では、やや様子が異なるため、こちらも目を通してください 
小口〜上地の堰  3.3km 4.2‰
上地の堰〜椋ノ井  3.9km 3.4‰

 今回はカヌー仲間のでくさんと月座さんと一緒に、3人でキャンプツーリング。私自身、キャンプツーリングは釧路川以来の3年ぶりである。行き先は奈良吉野川の予定であったが、直前で熊野川の支流である赤木川に変更となった。全員が初めての川だ。

 食材等の買い出しを済ませ、赤木川へ。熊野川との合流点を確認したところ、水量がかなり少なく、とても漕げるような状態ではなさそうであった。予定している区間は上地までであるので、とりあえずそこまで向かうことにした。途中、椋井のあたりに釣り橋があったので、立ち寄ったところ、洒落にならないくらい水がきれいであった。私のツーリングレポートの中でも、少なからず水質をほめている川があるが、それらの中でも一番だ。月座さんなどは、「水量不足でツーリングができなくても、ここで遊んでキャンプするだけでもいい。」とまで言っている。私は、ライニングダウンを繰り返すことになろうとも、この川を漕いでみたいと思った。それだけの魅力を、各々が感じたのだ。
 さらに川をさかのぼって、ゴール予定地の堰へ。水量に悩まされることになりそうだが、ここに車を一台残し、スタート地点を探して上流に向かう。道路越しに川を覗くと、水位の低さにがっかりすることになりそうなので、川を見ないフリをして移動した。唯一のカヌー雑誌『カヌーライフ』に、かつて紹介されたスタート地点である小口から下ることに決定する。車の放置場所も決めてから、最近流行りの「どこ生」に樽をつないで、とりあえずビールで乾杯!道路脇のスペースにカヌーを転がし、その上に腰を掛けて酒盛りをする男女は、傍目から見ても異様に映ったに違いない。2Lの樽をカラにしてから、酔った勢いでツーリングの準備を開始。河原にアイテムを移動してから、昼食&ビール。 ビール搭載 漕ぎ始めたのは14時半。三人とも、3.6m以上の艇長を持つ長いポリ艇を使用しており、キャンプ用品・鍋・食材・ビールなどを積み込んでいる。さらに、月座さんの艇の前には、クーラーボックスに入れたビア樽をくくりつけてある。各自が飲みたくなったときには、カップを持って月座艇ににじり寄っていく作戦だ。
 スタート直後の瀬を越えたあとの瀞場で、またもやビールタイム。天気はいいし、川の水は、形容のしようがないほどに清らか。でくさんとは、もうこれ以上の水質透明な川の川に出会うことはないのではないだろうか、ということで、意見が一致した。右の写真は水深が浅そうに見えるが、1.5mの地点なのである。皆が口々に、「え〜川やなぁ」「きれぇなぁ」などと、飽きることもなく言い続ける。瀞場では、ひたすら漕がず、ビール片手に川を愛でる。サイコーではないか。
 何百メートルかおきにやってくる瀬は、すべて一級レベルで、デッキを洗うくらいの波しかない。飲んだくれパドラー向きである。ただ、水量は少ないので、ざら瀬では慎重にコースを選ばなければ、ボトムがつかえて動けなくなってしまうのだ。
 そろそろキャンプサイトを決めなければならなくなってきた。2日で3kmという距離しか漕がないのだから、あまり進めないのだ。長井のあたりの右岸に大きな河原があった。人工物が見あたらない河原を選びたかったのだが、これ以上くだれないので、そこに決定。 一日目ゴール 各自シュノーケルを艇から引っ張り出し、川で泳いだ。魚があわてて岩陰に隠れるが、すべて丸見えなのだ。ひとしきり泳いだあと(といっても寒かったので10分くらい)、着替えて、薪集め開始。
 テントも設営して、いよいよ鍋の準備。なに鍋だか忘れたが、ポン酢で食べた。ホッケも焼いた。星も眺め、流れ星が幾度か走り去った。そのときどんな話をしていたのか、全く思い出せないのだが、とても有意義な時間を過ごした。

 翌朝、昨日の鍋の出汁を使った雑炊。それに、でくさんが前日に仕込んでおいた杏仁豆腐。これがまた美味いのなんの。横浜中華街のヘイチンロウとかなんとかいう店が発売元のインスタント製品なのだが、絶対お勧め。 驚きの水質 
 二日目も、前日同様のいい天気。川の様子も、前日同様に、水量が少なく、穏やか。口にする形容詞もまた、前日と同じだ。スタートして700m先で、川が左に曲がったあと、大きな岩が目の前に立ちはだかった。高さは1〜2mあるだろう。そんな大岩がゴロゴロと点在しているのだ。岩の後ろにもまた岩が隠れており、前方がどうなっているのか、さっぱり見当がつかない。水路は4本くらい。一番水量がありそうなところを選んで、まずでくさんが突入。続いて月座さん。私は最後方である。一つの岩を通過し、小さな落ち込みを越えると、そこは一艇分の空間しかないプール。そこで水量のあるルートを見極め、そちらへ方向転換し、また落ちて岩を通過し、またプールで方向転換、といった感じ。こんな立体迷路のような川下りは初めてだ。めっちゃ面白い (^^)v これを3回くらい繰り返したところで、瀞場に出た。ちなみに、これは水量の少ないときの状態で、平常以上の水量があるときには、このプールはなくなり、単なる岩が点在する瀬になってしまい、面白味は半減してしまうのだ。
 この瀞場で、この年初めてセミの声を聞いた。前からも後ろからも、互いの鳴き声を追いかけるように、サラウンド効果を伴って叫んでいた。まだ五月だというのに、さすが南紀である。  この瀞場を過ぎたら、ざら瀬3連発。3つめでは、赤木川唯一のライニングダウンをした。このあとは瀞谷瀬の吊り橋場のみ。ゴール地点の橋が見えたときには、ついに終わってしまうのか、という寂しさを、3人ともが感じたものだ。すると、左岸側に大きな錦鯉の姿を発見。5匹くらいいたであろうか。川で野生化した錦鯉を見たのは、錦川に次いで2回目だ。赤木川は、本当にいい川であった。いつまでも、このままの水質を保ってもらいたいと願わずにはいられなかった。

 帰路に温泉に寄った後、3人で「谷瀬の吊り橋」を渡った。長さが297mで、日本一らしい。高さは49m。私は高所平気症(?)であるが、でくさんは、ちとヤバそうであった。この吊り橋、なんと通学路なのだ。地元の人には、ここを自転車で通ることも許されている。谷瀬の人はすごい。
 でも、赤木川はもっともっとすごかったのだ。
写真協力:月座さん

上地〜椋ノ井(2001年9月16日)

 春の赤木川に感動したので、秋にも行っちゃいました。一週間前に台風が来たり、数日前も、前日も大雨が降ったりという天気の後であったので、水量は多く、前回よりも50cmくらい水位は高そうだ。コレはチャンスとばかりに、前回は水量がなくて下れなかった堰下の区間を、今回は漕いでみることにした。2.9km・3.4‰の区間のソロツーリングである。瀬を橋上から見る

 スタートは堰上流から。右岸側の魚道を、カヌーに乗ったまま下りた。橋をくぐると、流れが右岸に集まった左曲がりの瀬がある。早い流れの中には隠れ岩があったり、最後には30cmの落ち込みも。しかし、今の私は、こんなもの、モノともしないのだ。

 この瀬を越えると、ゆったりとした瀞場。ざら瀬があって、左に曲がって、また瀞場。この辺りの水質は見事であった。度重なる大雨に見舞われた後だというのに、5m以上下にあると思われる川底の様子まで見てとれるほどであった。前の日には、前回と同じ区間を8人で下ったのだが、今日と比べると、水は濁っており、透明度は3mくらいだったと思う。たった1日でこんなにも回復するのだ。すごい川である。
 吊り橋をくぐると、川幅一杯に杭を打ち込んだ箇所がある。漁のためのものだろう。杭の間隔の広いところを狙って、通過。この下は隠れ岩が点在する瀬になっていて、鮎釣り師が2名いたが、竿をあげてもらって、通り過ぎた。500m下にも、また釣り師のいる瀬。今度は3人である。やや川幅が広く、最初の2名は邪魔せずにやり過ごすことができたが、3人目のところは流れが集まって流路が細くなっているところなので、竿をあげてもらうしかない。しかし、こちらの存在に気づいているのに、一向に協力してくれる様子はない。バック漕ぎで待ってるのもいい加減疲れたので、できるだけ離れたところを通過しようとするも、浅すぎて座礁してしまった。そこでようやく、竿をあげてくれ、なんとか通過することができたのだった。気分悪いぜ、まったく。瀬の全景

 次なる瀬にも、瀬の入り口に釣り師が3名。ここの釣り師は、フレンドリーであった。「釣れてます瀬を下流側より見るか?」と聞くと、「たまにね」と笑顔で返してくれた。さて、この瀬は今日の区間で2番目にテクニカルなところだ(写真 左右。右は下流から見たところ)。隠れ岩があり、瀬の出口には大岩が控えており、隠れ岩を避けつつ、右岸寄りに漕いで大岩を避けるルートを行かなければならない。でも、ここも、案ずるより生むが易しだった。

 この後は、たいした瀬もなく、釣り師とも遭遇せず、平和にゴールの沈下橋まで辿り着くことができた。この日は、ライニングダウンは不要であった。それから、カワセミを3羽発見。いつ見てもキレイな鳥だねェ。こんな目立つ鳥が、いままで絶滅していないことに、私はいつも感心してしまうのだ。  回送はいつも通り、折り畳み自転車。55分のツーリングの行程を、30分近く掛けて、スタート地点まで戻ったのだった。

和田川〜上地 (2003年4月26日)

 この日の朝までに30mmもの大雨が降った。そこで、普段は水が少なくて漕げない和田川を漕ぐことにした。ゴールは上地の堰。和田川は赤木川の支流なのだ。地元の方によれば、この川を漕ぐ人は珍しくはないそうで、ただ、車を下ろせる河原は少なく、釣り人が渓谷を下りていく道を、艇を担いで下りていくらしい。
 私は唯一車を下ろせる和田集落の辺りからスタート。結局和田川は0.6kmしか漕げなかった。この区間には厳しい瀬はないが、10‰の傾斜を持つ川なので、上からスタートする場合は覚悟がいるだろう。
 雨のせいで濁りはあったが、1.5mくらいは辛うじて見通せる。感覚的には、この日の赤木川より若干澄んでいたように感じた。  赤木川も増水のせいで瀞場がなくなり、堰手前のバックウォーター以外では常時流された。艇のボトムを擦ることさえなかったと思う。瀬も慣れ親しんだ赤木川のそれよりはダイナミックだ。特に岩場の迷路の最後。写真中央左のオーバーフローしている岩の右岸側が本流なのだが、小さなホールと化しており、スターンを沈められて焦った。
 この日のコンディションなら、赤木川も初心者向けとは言えないだろう。

 堰に14:30にゴールすると、カヤックを積んだ車があった。友人と待ち合わせ中で、小口スタートでこれから下るらしい。そんな時間にスタートするかぁ・・・
 (おわり)