ひきがわ | 和歌山県白浜町 | ||||||||||||
リアルタイム水位 | 市鹿野 30cmあれば楽? | ||||||||||||
駐車場 |
|
||||||||||||
トイレ | スーパーと紀伊日置駅、安居の堤防上に仮設。 | ||||||||||||
買い出し | 川沿いR42南側にスーパーあり。 | ||||||||||||
温泉 | えびね温泉(600円) | ||||||||||||
ひとこと | 水質がよく、距離がとれて、海まで漕げる。エビも捕れる。もうサイコー。 ただし、鮎の友釣り解禁からしばらくは自粛した方がいいかも。 docomo・auともにR42付近以外は通話圏外。 |
合口の橋までで 7.0km 2.3‰ |
この川に来るのは5回目くらいであるが、玉伝よりも上流を漕ぐのは全員が初めて。
玉伝から上流は道路がかなり高い位置を走っており、、スタートに選んだ関場までは川に入れそうなところが見あたらなかった。
玉伝から関場へは結構な距離があり、小房で行われていた道路工事による20分待ちに捕まったときには、もうUターンして玉伝からでいいんじゃねーの、的空気が蔓延したが、神奈川からはるばる飛行機でやって来た一ノ瀬さんの、「この渓谷は漕ぎたいよねぇ〜」発言により誰もが何も言えなくなり、関場からのスタートとなった。
今回は8名で、ダッキーが3名・カナディアンが1名。前出の一ノ瀬さん以外には高速バスでやって来た千葉のようちゃんが遠征組、という陣容であった。
この日、市鹿野の水量が6cmくらい。ただ、過去に漕いだときの水量を記録していなかったため、それがカヌーにとってどうなのかということは漕いでみないことには分からないという状況であった。
日置川は全体が山に囲まれ、民家も少ないので、渓谷部であっても他のエリアと風景に大差はなく、それは未知の区間である関場〜玉伝も同じ。どこもかしこもいい景色であった。強いていえばいくらか瀬が多いかもしれないが、難易度が上がるわけでもない。
あと、今まで素通りしていた八草の滝であるが、今回はここへ立ち寄ってみた。川から7〜8分のハイキングで、日本の滝百選に選出された滝にたどり着く。途中の道筋は増水時には滝の水が流れるはずの川。そこを3分も歩けば滝の音が聞こえてくる。聞こえてこなければ・・・滝が涸れていることもあるらしいので、その可能性がある。
このときはショボいながらも滝が流れており、一応滝に打たれてみた。というか、ほとんど岩に沿うような形でしか水が流れていなかったので、洗髪するときのように頭を突っ込んでみたという方が適切か。勢いのある打たせ湯にも引けを取る感じで、この水量だと、紀州百滝の地位も危ういくらいの貧素さであった。
だが、川旅に変化をつける意味ではいいイベントにはなる。
八草の滝以降は以下の2002年のレポートを参照して下さいな。
川の水量はやはり6cmではもの足りず、ライニングダウンが1kmごとに必要となった。みんなの積みきれなかった荷物を運んでくれたカナディアン参加のさのさんにはひたすら感謝である。
それと、気になる出来事がひとつ。
カーブを曲がった先で、鮎釣り師が川の中に入って脱糞していたのを見てしまった。先方も驚いただろうが、こちらも驚いた。鮎釣り師はその場にとどまっての遊びだから罪悪感は小さいのだろう。でもこちらにとってはそのブツと共に川を流れていかなければならない。ちゃんと紙で拭いたとは言うが、ちゃんとじゃね〜だろ! 生理現象ではあるものの、このやり方が鮎釣り師の常識となっていないことを願うばかりである・・・
ところで、私はこのツーリングでダッキー(グモテックスジュニア)をダメにしてしまった
(T_T)。 キャンプで飲んだビールの空き缶を潰して艇に放り込んでおいたのだが、浅瀬を漕いでいたときに艇のボトムとシートの間にそれが入り込み、ボトムとシートを破いてしまったのだ。釧路・長良・四万十の三大聖地を共に下ってきたが、その艇とももうお別れの予感。ダッキーに潰した空き缶は厳禁のようだ。
一之瀬さんが二人艇のダッキーの後席に乗り込み、前席には荷物を満載して漕いでいたのが格好良かったので、買い換えるなら二人艇にしようと思案中。値段最優先で。
22.3km 1.3‰ |
日置川は澄んだ水をたたえて、海までゆったりとした流れが続く山あいの川である。
川から海に出て右岸を回り込んだ辺りをゴールに決めて、回送用の車を停めた。近くに大きなスーパーがあり、ここで生鮮食材を追加購入後、スタート地点を探しに、川を遡る。
道路から見下ろした日置川は、深い笹濁りというような色合いであった。わざわざ遠方からも遠征に来てもらっているので、もっと澄んでいて欲しかったのに、ちょっと残念。
宇津木以降は漕いだことがあったので、もっと上流の玉伝あたりから漕ぎ始めたかったが、FF車でも入っていけるような河原がなく、結局宇津木上流の合口の橋の左岸から。
とりあえずスタート地点が決まったということで、乾杯。総勢11名のうち、ファルトで下る4人は組み立て開始した。
荷物を艇に積み込むと、これが重いのなんの。原因はハッキリしている。ビールだ。関西弁でもビールと呼ばれ、関東と同じ呼び名で親しまれている黄金色のするどい液体である。これを2Lの樽だけで11本も搭載している。快適なツーリングにはこのような苦労も伴うのだ。
ツーリング開始は15時。和歌山駅に7時に集合ということを考えれば、この時間になるのも仕方がない。ちょっと漕いで、適当なキャンプ地を探すのが、この日の目的である。
漕ぎ始めてからも全員がカップにビールを注ぎつつの、だらしないツーリングである。これが我々のスタイル。水質は、結構良い。道路から見た笹濁りは、単に水深が深かった為らしい。前に漕いだときにも感じたが、ここは本当に深い淵の多い川である。
瀬があった。ゆるく右へカーブしていて、最後に30cmの落ち込みがある。ここを漕ぎ抜け、念のため、右岸のエディで待機していると、なんとあのでくさんが沈。しかし、スターンデッキにクーラーボックスをくくりつけた重心の高い艇にもかかわらず、ロールで起きあがってきたのは流石であった。
編隊の最後尾にいるハウスさんが瀬の手前で止まっていて、下ってくる気配がない。どうしたんだろう、と思ってると、私の死角からhatchさんが沈脱して流されてきた。瀬の入り口にあった木の枝に気を取られ、ひっくり返ったそうだ。
この瀬では二人が犠牲になった。うっしっし。
スタートして2kmの辺りに、30m間隔で7人ほどの釣り師が集中しているところがあった。水深はないものの、川幅があったので、釣り師の邪魔をすることなく通過することができた(とおもう)。この付近に白いテントが張ってあったので、鮎釣り大会でも催されていたのかもしれない。
しばらく漕ぎ下ると、水面付近を浮き沈みしながら泳ぐ、弱った鮎がいた。全員のカヌーでこの鮎を包囲し、カヌーに乗ったままミヤモトさんが手掴みで捕獲に成功。うーむ、すごい。
久木にいい河原を見つけた。ここをキャンプ地に決定する。下が小さな石の平面で、流木がふんだんにあり、道路からのアクセスはできない。これで対岸の道路が見えず、脇に小川の注ぎ込みでもあれば100点だ。
夜はカワエビがいっぱい。四万十川などよりも多い。手掴みでのエビ漁を試みるが、30分ほどで一匹のみ。息があるうちに逃がしてあげた。ミヤモトさんが捕まえた鮎は、焚き火で塩焼き。
あきらKさんが、前日の河原で拾ってきた浮き輪を艇に繋ぎ、瀞場では気分次第で乗り移ることにした。腹這いで乗ったり、尻を浮き輪にはめ込んだりして漕いでみたが、すぐに身体が冷えてきたので、すごすごとカヌーに逃げ込む。
昼頃にえびね温泉に到着。全員で崖をよじ登り、入浴。ここは蛇口からも温泉が出ており、風呂を上がる前に湯を浴びる習慣がある私としては不都合なのだ。
温泉の食堂で、生ビール。ツーリングに持って出たビールはすでに常温になっているので、冷えたビールは12時間振り。うまい!
この食堂ではメニューにないが、プラス150円で大盛りを頼むことができる。私はカレーの大盛りで、850円。
この昼食のあと、しばらく休憩室でまどろんだ。
さて、ツーリング再開。右岸側にある水路を漕ぎ下りたいのだが、温泉の客は口々に、「そっちは行き止まり」とか、「トンネルがあって水は田んぼへ注ぐから行けない」と、我々を抑止する。でくさんと月座さんはこの水路を行き、残り9名は堰を漕ぎ下った。
水路を行った二人は、落ち込みでポーテージをしたそうだが、釧路川源流のような風景の中を、下ってくることができたらしい。ただし、水量は乏しいそうな。
この日のキャンプサイトは、あまりいい河原ではなかったけど、安居の辺りにした。堤防上に仮設トイレがある。
ちょっと雨が降りそうな気配だったので、「おまじない」をした。おまじないとは、一般的な言葉で表せば、「タープを張る」である。夕食準備中に何度か雨がぱらついたが、本格的な雨とはならなかった。おまじないが効いたようだ。
この日もエビ捕り。ここは川が遠浅で、川の中心まで行っても水深は膝以下。お陰で漁が可能なエリアが広く、長時間漁に熱中してしまった。こちらが怯んでしまうような大物もいる。ハサミで挟まれそうで、ちょっとこわい。6人ほどが参加して、うち一人はエビ鉄砲を使用。漁の成果は合計25匹くらいで、私は5匹。手掴みのコツも掴んだような気がする。エビの後ろで待ちかまえるよりも、「上方から石ごとガバッ」だな。
25匹の魂は、唐揚げとなって11名の胃袋に収まった。
今日はちょっと漕がなければならない。ゴールまで9.5kmで、河口が近いので川の流れもさほど期待できない。さらに、天気も不安定そうだ。前夜にビールの在庫が切れてしまったので、普段みたいにダラダラしなくてすむだろうけど。
この川は上流よりも下流部の方が水がきれいなようだ。水中写真だけ見れば、赤木川と見違えてしまいそう。石の感じが似てるのかな。
田野井の辺りで、橋の上から我々を眺めていた年輩の方に、あきらKさんが尋ねる。「この辺で酒屋ってあります?」
榎本商店の場所を聞き出して、5人で買い出し。冷たーいビールと、下戸のうじさん用のカルピスウォーター、栗入りのどらやきを仕入れた。
これ以降は、また酒盛りをしながらのツーリング。
JRの鉄橋下は、2年前に漕いだときにはブロックを組んだ堰があってポーテージしたが、今は崩れてしまっていて、そのまま漕ぎ下れた。この辺りから大雨。ゴールが近づき、だらけてしまいそうな我々に、(少しだけ)渇が入った。カワウの群れを蹴散らして、海まで一直線。河口手前の中州では、全員が右側を選択。
漁船が見えてきた。水も塩辛くなってきた。もうすぐ海だ。
雨もあがって、風もない。ダッキーやカナディアンの3人も一緒に海まで出られそうだ。
海へは、うじさんが他を抑止して、先頭で出ていった。そのうじさんは、海へ出ると、まいろさんとともにそそくさと海岸に向かい、着岸。海が怖いらしい。私も海は怖いが、この日の海はベタ凪ぎ。ちょうど雨も上がったので、みんなで集まって海上でまた乾杯。この一杯は格別であった。
海だぁぁぁ |
その後、残りの一行も海岸へ向かって、ゴール。確か正午頃であった。
うじさん作の生姜ご飯のおにぎりで軽く腹ごしらえをして、車の回送を始めた。
戻ってきたときには、ダッキーやファルトもすっかり乾燥しており、天気予報を裏切った太陽に感謝した。
車で30分ほどの、椿温泉に全員で立ち寄る。元湯 椿楼である。源泉は32℃で、17時以降でないと、露天風呂は沸かさないことになっているようで、このときは内湯のみ。料金は700円だったと思うが、その値段ほどの価値があったかどうかは、ちょっと疑問。
ここでみんなとは別れ、私だけ白浜温泉 崎の湯へ向かった。温泉のハシゴである。
海に突きだした岬の先端に湧いている無料の野天温泉で、男女別。浴槽には自然の砂岩を用いているらしい。ミルキーグリーン色の適温の湯で、海辺にありがちな食塩泉ではなく、炭酸水塩泉。排水溝が完備されていて、シャンプー類も使用してもいいことになっていた。排水が浄化処理されているのかもしれないが、私はちょっと使う気にはなれない。管理人室もあり、夏場は19:00まで入浴が可能。
打ち寄せる波が目の前にあり、いい雰囲気のところであった。
右の写真は当時のものであるが、現在では崎の湯は改装され、料金300円が掛かるようになっている。浴槽が海側に追加されており、男湯は岩風呂が二つ。女湯は木風呂と合わせて三つあるらしい。ただ、海側に近い浴槽ほどフナムシの密度は高い
(^^;)
最後に、初めて日置川を漕いだときのレポートに書いた言葉で締めくくることにする。
「これからカヌーを始めたい、という人を連れてくるには、日置川は最適な川だと思う。間違いなく川の虜になるはずだ。」
(おわり)