北上川カヌーツーリング (2003/5/22)

きたかみがわ 岩手県盛岡市〜花巻市
流域内人口密度 137人/平方キロ (北上川水系)  
リアルタイム水位 紫波橋
駐車場 START 雫石川合流点下流右岸側に数台。
都南大橋下流右岸側 停められるらしい。
大正橋右岸 河川敷にいくらでも。
GOAL 朝日橋の河川敷にいくらでも。
トイレ 大正橋の河川敷公園。
探せば他にもあると思う。
買い出し 町が近いので、適当に。
温泉 花巻温泉の廣美亭
繋温泉の
愛真館
ひとこと ゆったりした流れの中、ポーテージ不要の超超ロングツーリングが可能。
盛岡市仙北町〜花巻
44.7km  1.2‰
 北上川は東北ツーリングの代表選手だ。この川を事前に調べてみて驚いたのが、堰の少なさである。盛岡市北部の四十四田ダム以降、前沢町までを地形図で確認したが、堰堤がひとつもなかったのだ。その距離なんと100km以上!
 日本一の多雨地帯で、いつでも好きなだけ水を利用できそうな南紀の川でさえ、堰で分断されているものが多いというのに、この違いは何なのだろう? すごいね、北上川。 

 スタートは北上川に雫石川が合流するところ。車を数台置くことができるが、なんとなく車にイタズラされやすそうな河原だ。少々不安だが、ほかにいいところが見つからなかった。

 今回はキャンプツーリング。ゴール後カヌーを放置し、電車に乗って車を回収する予定だ。駅の近い上陸しやすそうなところは、紫波橋(下流右岸)、大正橋(右岸)、朝日橋(右岸)を確認ずみ。

 5月という時期に、それも東北となると、上陸後の服が結構嵩張り、積んで下る荷物の量は、過去最多となった。ドライバックに入れて準備を進めていると、ラブラドールが散歩にやってきた。仮に「まさお君」と呼ぶことにしよう。まさお君はなにやら地面を探し回っている様子であったが、狙いを定めると、すごい勢いで地面に埋もれていた石を掘り始めた。ラブラドールの中でも結構大柄なまさお君の石堀りは、かなりパワフルだ。
 やがて掘り出したコブシ2個分くらいの石をくわえて草むらへ持っていき、得意げな表情をして見せた。飼い主は「変な癖がついちゃってねぇ」と、こぼしていた。どうやら、いつも石を掘り返しているらしい。
 盛岡のダートの凹凸には、まさお君が少なからず荷担しているはずだ。

 そろそろツーリングに出ようとしていると、測ったように放送が流れた。
 「発電放流のため水位が増えますので、川には入らないでください」
 仕方なく30分ほど待ったが、増水は目に見えるほどのものではなかったので、スタート。

 雫石川部分を30m漕げば、もう北上川である。
 最初にくぐるのが明治橋。休日にはここにロデオパドラーが集うらしい。
 最初の30分は、休まずにパドリングを続けてみた。時速何キロくらい出るのかを確認したかったのだ。その答えは7.5km/h。川の流れを差し引くと、静水でなら6km/hというところか。
 花巻まで7時間漕げば着くことができる。えーと、休憩を挟んで17時か・・・ 行けるかも。ということで、キャンプ用品を積んではいたが、花巻を目指すことにした。
 まだ5月の平日で、他のキャンパーがおらず、途中の河川敷公園等でキャンプが許可されているかどうかが分からなかったこと・車にイタズラされないか心配だったこと・冬用シュラフを自宅に忘れてきたため、辛い夜が予想されたのが、デイツーリングに変更した理由である。40km以上を1日で漕ぐのは大変だが、シーカヤックマラソンで海を42km漕ぐ人もいるんだから、川でもたぶん大丈夫だろう。

 風景はまずまず。平地を流れているが、両岸の木が人間の世界とを隔絶している。水質は・・・まぁ、仕方ないかな。ずーっと上の方から汚水を集めてきているんだから。
 アオサギとダイサギが一緒にいた。久しぶりに見るダイサギやなぁ、と思っていると、白い方は実は白鳥であった。さすが北国である。

 紫波橋を過ぎてからだったと思うが、左岸側のエディに樹からの綿毛が、すごい密度で滞留しているところがあった。せんべい菓子の「雪の宿」みたい。

 日詰〜石鳥谷間に、この川としては岩の多い部分がある。手持ちのツーリングガイドには、落ち込みあり、とも書いてある。この日の落差は、0〜30cm。2枚の岩盤がねじれてできたような段差で、右岸寄りを行けば落差はない。

 花巻空港を通過する。この付近の東雲橋からは、上陸が無理っぽい。
 空港を裏側から覗いてみようと、艇を置いて護岸を登ってみるも、木立に邪魔されて見えなかった。川の上を飛行機が離発着するのを見上げてみたい、という願望もあったが、そもそも発着する便数が少なく、それも叶わなかった。つまんねー。

 そのかわり、この辺りからヤマセミの密度が濃くなった。川が新幹線に最接近する辺りでは、枝に留まったヤマセミに5mまで近づくことができた。白黒の斑模様も、頭の冠羽もハッキリと識別できた。
 ううう、感動。

 ゴールの朝日橋が見えてきた。河川敷公園の護岸工事のためか、右岸側に水路ができており、そこに入っていけば、艇の回収が楽になる。はずだったが、その水路にはパワーショベルがまたがっていて、それを拡張工事しているようだ。かくして、背の高いブッシュをかき分けて上陸・運搬をしなければならなくなった。これだけで30分のロス。

 着替えを済ませて花巻駅に向かう。駅までは2.5kmくらいで、想像以上に距離があって焦った。
 電車は普通のものと、ワンマンがある。たまたまやってきたのがワンマンであったが、乗降のルールが煩雑であった。駅や車内にある案内をよく読み、さらに車内放送にも耳を傾けていないと、初心者はその目的を達することができないかもしれないので、眠ってしまうことは絶対に許されないのだ。
 仙北町駅までは570円。

 北上川は適度に流れていて、のんびりツーリングには快適であろう。
 キャンプしたくなるような、人が入って来られない河原は、少なそうだ。
 注意点は、所々川中に鉄杭が突き刺さっており、それが「ここ」というわけでもなく、川全体にまばらに刺さっていること。これがやっかいで、長時間のよそ見や、ウトウトは、したくてもできない。知人にもファルトボートの船体布を破ってしまった人がいるので、初心者は特に気を抜かない方がいいと思ふ。

 なお、掲載した川地図は、橋の本数が実際よりも数本少ないようなので、あくまでも参考程度に。
(おわり)