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宇奈月温泉〜音沢発電所前 5.2km 9.2‰ |
以前、ジャニーズタレントの山口達也がダッキーでこの川を下っていたのをテレビで見て面白そうな川というイメージを持つようになり、そのうちに勝負せねばと考えていたのだ。
黒部川は、幅の広いダッキーとはいえ、初心者である人気タレントに下らせて大丈夫なんかいな、という河川であった。
出発時、関西電力のパジェロが対岸にやってきて、上流には行くんじゃないよと声を掛けられ、写真を撮られ、出発を見届けられた。ちょっと不安になる。
出発して間もなくの左カーブの手前で1.5mの落差を持つ落ち込み。水量がなければ長いザラ瀬となるようなところであるが、大きめの岩だらけで構成されており、障害物を避けるのに忙しい。
曲がった先では、温泉裏からドバドバ水が垂れ流されてきており、かすかに硫黄臭がした。この中には石鹸やらシャンプーやらも混ざっているはず・・・
その先に区間最初の橋が現れたが、そこに先ほどの関西電力の方が立っていた。我々のことが心配なのであろう。
橋を抜けての右カーブ。ここでもカーブ手前に先ほどと同様な深い落ち込みがあった。
この川ではコーナー手前にこうした大きな落ち込みがあることが多い。そして、瀬が長く、波長も長い結構ダイナミックな波と対峙することになる。
地図からも読み取れるとおり、渓谷ではなくて広い河原を持つ直線的な河川で、瀞場での風景は広がりがあって気持ちいい。
昼食に適した木陰のある河原で休憩した。何匹かのアブが嬉しそうに飛び回っており、夕方になると常願寺川と同じくアブの襲来を受けそうな気配が漂っていた。
音沢発電所から愛本堰までの3kmは、書籍によれば「3級以下の瀬が連続する」区間であるが、愛本堰の近辺で上陸しやすそうなポイントが見あたらず、我々は音沢発電所でゴールとした。全員無沈。
ツーリングを終えて回送でスタートに戻ったとき、我々の車の近くに、件の関西電力の車が停まっていた。無事にゴールまでたどり着けるかを心配されていたようだ。
この川での注意すべき点は、流れの中に消波ブロックが流されてきていることで、ここの消波ブロックはたちが悪いことににょきにょきと鉄筋が突き出ているのだ。瀞場の真ん中に転がっていることが多かったが、もしも瀬で勢いがついている状態で目の前にこれが突然現れたりしたらと思うと、冷や汗どころでは済まないように思う。
釣り師の状況は、温泉街のエリアでルアーらしき釣りをしていたのが数名いただけ。
水質はBOD類型AAで、黒部川の伏流水は名水百選とかなんとかに選ばれるほどのものなのだが、見た目の透明度はせいぜい1.5mくらいで、濃緑色をしており、あまりきれいとは感じなかった。2006年の一級河川BODランキングでは一位タイにランクされましたけどね。砂等による濁りとBODの数値とはまた別の話であるから、そのせいかも。
キャンプはゴール付近で行ったが、多少のアブに加え、日没までの1時間半くらいの間はブヨにも悩まされた。ブヨは蚊よりも小さい黒い昆虫で、刺されたらかゆみが一週間くらいあとをひくという難敵である。虫除けスプレーも万能ではなく、この北陸遠征では吸血虫にやられ続けた。
月座さんなどは、キンカン塗ってぇ、また塗ってぇ〜♪という気持ち悪いメロディを口ずさみつつ半狂乱でキンカンを塗りたくっている始末。薬局で、塗るタイプのキンカンだけがアンモニアを配合してますよとキレイな店員さんに勧められたそうで、もうすっかりキンカンの虜になってしまった。
夏の北陸はアブとブヨへの対策が欠かせないのだ。
翌朝、キャンプ地での朝食タイムに国交省だか関西電力の方がやってきて、今日川下りをするのか?と声を掛けられた。前の日とは別の方だと思うが、なんだかやたらパドラーの監視が強い。それだけ過去に事故が多かったということかもねぇ・・・
(おわり)