くろそんがわ | 高知県西土佐村 |
流域内人口密度 | 44人/平方キロ (渡川水系) |
リアルタイム水位 | 津野川(四万十川) |
駐車場 | START 道路脇に2台? GOAL 四万十川合流点に停められたはず。 |
トイレ | 四万十川合流点にあったはず。 |
買い出し | 四万十川左岸に個人商店あり。 |
温泉 | 用井温泉 西土佐村山村ヘルスセンター(300円) ホテル星羅四万十(1000円) |
ひとこと | 普段は漕げるだけの水量はなく、淵でシュノーケルを楽しむくらいしかできない。 |
4.7km 6.0‰ |
4連休前日の5月2日に、兵庫を出て四万十川に向かった。2日は、高知で大雨が降っていたという情報を得ていたが、それほど深く考えることもなく、予定通り「うじさん」と、明石で落ち合って出発。
四万十川上流側から車でアプローチしたのだが、土佐大正の上流部でも十分な水量があった。河原の草木の生え方から判断すると、2mくらい増水していそうだ。そして、かなりの濁流。うじさんは「全然清流じゃなぁい」と嘆いた。
この日のエントリー予定地である江川崎に着いても、やはり川の状況は変わらない。カヌー館に立ち寄ったが、そこの職員に言わせれば、この日の四万十川は「アマゾン川」とのことであった。清流を取り戻すには、1週間くらいの時間が必要らしい。周辺には多くのパドラーがいたが、漕ぎ出そうとする人は誰もいない。「りんりんサイクル」を借りてサイクリングにするか迷ったが、黒尊川を見に行ってみることにした。この川は、四万十川の支流の中で、最も水質がいいとされる川なのだ。四万十川との合流点である口屋内に行くと、黒尊川からの流れ込み付近だけは清流と言える水質であった。よっしゃー、黒尊川はキレイや!
黒尊川をさかのぼっていくと、水量も問題なく、1.5mくらい下まで見通せるまずまずの水質。5万分の1の地形図を確認したところ、堰もなさそうだ。結局この日は、この川を漕ぐことにした。5kmほど上がったところに、エントリーできそうなところがあったので、そこをスタートと決め、準備を始めた。すると、カナディアンを積んでウロウロしていた斉藤さん夫妻もここにやってきた。一緒にここから下りませんか、との提案に乗っていただき、口屋内まで4人でのツーリングとなった。斉藤さんの情報によれば、黒尊川は通常なら水が少なく、ライニングダウンを頻繁に繰り返すことになるそうだ。
スタートしてみると、結構流れが速いことに気づかされた。うじさんはスクールで5回ほどカヌー経験があるものの、一緒に漕ぐのは初めて。斉藤さん夫妻もあまり経験が豊富とは言えないとのことであった。オレがみんなを守ってやるぜ、と勝手に思いこんで、下っていく。
2km下に、チョットした瀬があった。大きな波がひとつ立ちはだかっていて、ポーテージをするかどうかで、しばし相談。左写真は、右から左へ流れているところである。すると、一艇のファルトが下ってきた。彼もこの瀬を下見にやってきた。酒を満載している酔っぱらいパドラーだ
(^-^; 私たちの2kmほど上から漕いできたらしい。
この瀬には、私がまずトライすることになった。流れの中央に出ていき、勢いを付けて瀬に挑むと、なんてことはなかった。波は胸くらいの大きさで、横波もなく、素直な瀬であった。ファルトも難なく通過。うじさんと斉藤さん夫妻はポーテージ。
この辺りは一部山肌を削ったところがあるが、見渡す限り人口構造物が見あたらないポイントであった。
この少し下に、瀬にはなっていないが、緩やかに右に曲がるところがあった。この下の河原で、先行していたファルトが沈脱して、水出しをしていた。酒を持ったまま漕いでいたのだろうか? 荷物が流れ出ていたら回収を手伝おうと思い、尋ねたところ、「荷物は大丈夫なんですけど、酒がぁ〜」と返ってきた。・・・まぁ放っておいて問題はないだろう。
四万十川との合流1kmほど手前で、川が大きく左に曲がるところがある。そこで、前方に頭を出した酒瓶らしきものを発見。追いかけて回収を試みたが、その先に、もうひとつ大きな瀬があった。酒の追跡は諦めて、瀬を下見した。左岸ギリギリに流れが集中しており、岸からの樹木の枝も邪魔をしている。左岸の窪んだところには強いエディもできている。写真は、ファルトが通過するところ(小さくて分からないでしょ)であるが、結構傾けられていた。私たち4人は、全員ライニングダウンした。
そしてまもなく、口屋内の沈下橋に辿り着き、ツーリングを終了。水量不足によるライニングは一度も必要なかった。
回送の途中で、気になっていたことを斉藤さんに聞いてみた。「私たちと一緒にならなかったら、回送はどうするつもりだったんですか?」 すると返ってきたのは、「いや〜、徒歩で・・・。」 うおー、こんな方法もあるのか、と、目から鱗でしたね。
・・・あとで知った話であるが、この前日には、ここ口屋内の沈下橋が水面に隠れたそうである。そのような状況下で、この水質を維持できる黒尊川の偉大さに感服したのだった。
このあと斉藤さん夫妻と、足摺岬の西にある竜串で観光。竜串は、うじさんがお勧め観光スポットということで聞いてきたらしいのだが、よくある海岸の奇形岩、といったかんじであった。このあと、高知港からフェリーで埼玉まで戻る夫妻と別れた。混雑しまくりの新安並温泉(H16に閉館)に入る。
翌日は当初の予定通り、四万十川を漕ぐことになっていた。この日の夜、夜行列車で大阪に戻るうじさんにとっては、四万十川を漕ぐチャンスはこの日しかないからである。
水質はいくらかましになっていて、もうアマゾン川ではない。口屋内の沈下橋辺りから、3kmだけ漕ぐことにした。西土佐村〜中村市ということになる。自分で初めて市境を越えたときには感動したものだったが、うじさんはそんなことどーでも良さそうである。つまんないのだ。
エントリーポイントで、興奮すべき出来事があった。河原に7人くらいのグループがいたのだが、野田知佑氏のサインが入ったパドルを積んだ車があり、そのうちの一人、こちらに背を向けている人が野田氏に似ているのだ。野田氏のファンである私たちはもう大興奮。彼は毎年GWには四万十川に来る、という話を聞いたことがあるし、目の前に係留してある川舟は「野田丸」という名前なのだ。声を掛けようかどうか迷っていたが、彼の笑い声を聞いて、私は少し違うと感じた。声質が高いのだ。それに、口ひげがない。「野田丸」というネーミングにしても、本人がそんな名前を付けるだろうか、という話になり、結局声を掛けずに川へ漕ぎだしたのだ。うじさんはまだ「野田さんちゃうん?」と怪しんでいる。私は96%の確率で「なんちゃって野田さん」だと思うのだが。
さて、川の方は、茶色い水がダラダラと流れているだけで、やはり四万十らしくはない。岩が絡まない簡単な瀬もあるにはある。
流れが速く、区間も短いので、あまり漕ぐな、と、うじさんに警告したのだが、カヌー歴が浅い彼女は嬉しいのか、漕ぎまくり
(^-^; 予想通り、アッという間にゴールし、私は自転車で車を回収に出掛けた。うじさんは、その間、食事の準備。ご飯と麻婆ビーフンだ。おいちかった
(^^)v
このあと四万十温泉(400円、きれい)と、トンボ公園・うどん屋に立ち寄り、中村駅でうじさんを見送った。
今日は江川崎の上流を漕ぐのだ。上に行けば、いくぶん水の透明度も上がっているように感じた。前日と同じく緑色に濁ってはいるが、80cmくらい下が見えるだろうか。
自転車での回送と、その日の夜の移動を考えると、ツーリングの距離は10kmが限界。江川崎に自転車を置いてから、エントリーポイントを探すと、半家の沈下橋が8km地点にあり、ここからが良さそうだった。小雨が降り始めた中、準備開始。使用艇はフランケンシュタイン(ポリ艇)。ゴール地点での着替えを艇に積み込もうとしたら、なんと、入らないのだ。この艇に着替えを積んで下ったことは、今までにない。他の人はどうやっているのだろうか? ドライバッグのサイズの問題なのだろうか? とにかく、自転車で戻ってくるときには、ウェットスーツのままということになりそうだ。
11時にスタート。直後に100mの瀬がある。横波も加わっているが、岩が絡んでいないので、それほど恐怖心はない。
次に現れた瀬は、岩がらみ。十川〜江川崎の区間は、私が持っているツーリングガイドでは、難易度が初級となっているが、この瀬にいきなり飛び込むのは怖い。瀬の手前で上陸して、ルートを頭に描いてからチャレンジした。この次の瀬も、その次もまた、同様に下見した。川幅があるので、チキンルートを選ぶことも、比較的容易である。
この区間にある瀬は、級で表せば3級が一箇所。2級が4箇所といったあたりであろう。
途中で出会うパドラーは、ファルトやダッキーばかりであった。ポリ艇に乗っている私は、少し場違いな感が否めない。「だって、買ったばかりの艇だから、乗りたいんだもん!」と心の中で叫ぶ。
一回の休憩を挟み、2時間でゴール。すぐさま自転車にまたがり、スタート地点に向かった。途中で気が付いたのは、やたらと道路を横断している虫が多かったことである。マルムシや何かの幼虫や、チョウ類など。うかうかしていると、彼等をふんずけてしまいそうだ。四万十川を中心とした自然の懐の深さというものを感じさせられたのだった。
スタートまで戻るのに、なぜか1時間もかかってしまった。平均時速8kmだ。なんという遅さ。折り畳み自転車のスピードと乗り心地には、いつも不満を感じる(私だけかも)。
江川崎で艇を回収し、昼食を食べたあと、翌日の予定である仁淀川に向かった。途中の十川で、川にワイヤーを渡して、無数の鯉のぼりを泳がせているところがある。見事な眺めである。この時期には、同様に鯉のぼりを出している川が全国にあるが、私はここがいちばんすごいのではないかと、密かに思っているのだ。
さらに移動を続けると、うじさんが四万十川の源流が見たい、と言っていたのを思いだした。写真にでも撮っておこうと思い、川沿いにひたすら上流を目指すことにした。すると、どこまで行っても、ツーリングができそうな水量があったのだ。窪川町の最上流部からでも下れそうな感じだ。通常よりも100kmほど上流ということになるはず。すごい増水だ。
大野見村に、「四万十川源流の家」という宿泊施設があり、ここの温泉に立ち寄った。300円。
この辺まで来ると、キャンプができるほどの大きな河原がないので、何処で寝るかを悩んだが、布施ヶ坂の道の駅に決めた。屋根のある屋外休憩所があり、ライダーの方2人も、ここにテントを張って寝るようだ。この隣に私も寝床を確保し、3時間くらいライダーの方と、互いの世界のことなどを話た。思えば旅先で、見ず知らずのライダーの方と話し込むのは、初めてである。
午前2時頃、大雨の音で目を覚ました。屋根があって、本当によかった、と幸せ気分で、また寝る。
翌朝、さらに源流を目指した。道の駅からは残り8kmだ。2kmのダートを乗り越え、辿り着いたそのポイントから、さらに徒歩25分との案内があった。雨のせいで、登山道にまで水が流れているところもあり、何処が登山道なのか、よく分からなくなっていた
(^-^;
やがて、源流の表示があるところに到着。日本最後の清流の源流だ。なんだか頂点を極めたような気分になる。
ここから隣の仁淀村へ抜けて、仁淀川の漕行予定地点へ。
到着してみれば、越知町まではそこそこの水質であるが、宮の前公園を過ぎればアマゾン川状態であった。この辺りで土砂崩れがあったか、工事をやっているかであろう。宮の前公園をゴールとした区間を検討したが、エントリーポイントが見あたらず、残念ながらツーリングを断念した。
その後、仁淀川橋に移動。地元の和紙をPRするために、和紙で作った鯉のぼりを、川で泳がす「水中鯉のぼり」を見に行ったのだ。川がきれいなら、もっと鯉のぼりが映えたのであろう。残念だ。
次に行ったのは、徳島のかずら橋。渡るのに500円も徴収されるのだが、なかなか来られるところではないので、思い切って渡ってみた。足下は、十分に足がはまるだけのスパンでかずらを編んでおり、ちょっと危ない。みんな、手すりに掴まっておっかなびっくり進んでいて、流れが悪い。人の間を縫って、ずんずん進んでいくと、「あの人すごい!」と感心されてしまった
(^-^; そんなことよりも、私としては、橋の下を流れる川が気になった。写真では分かりづらいが、無茶苦茶きれいなのだ。釧路川の源流部に匹敵するほどである。川の名前を調べたところ、祖谷川だったように記憶している。漕げるかどうか、調べてみる価値はありそうだ。
徳島市に向かうまでの道中、歩危峡を要所要所で見学しながら走った。「ここを下るのは、オレにはやっぱり無理やなぁ・・・」
山川町で、山間のふいご温泉(500円)に立ち寄り、自宅まで戻ったのだ。4日連続で温泉に入ったことになるが、自身の最高記録かも・・・
(おわり)