四万十川カヌーツーリング (2016/8/15〜16)

しまんとがわ 高知県四万十市
流域内人口密度 44人/平方キロ (渡川水系)
リアルタイム水量 津野川 ツーリング当日は-0.30m
駐車場 START 宮地キャンプ場の駐車場
網代の河原
GOAL 岩間の河原
口屋内の河原
トイレ 宮地
網代
岩間
口屋内
 全部清潔!
買い出し 江川崎のスーパー彦市
道の駅よって西土佐
温泉 用井温泉 四万十山村ヘルスセンター(350円) シャンプー無し
ホテル星羅四万十(800円)
ひとこと 日本最後の清流というキャッチフレーズで有名。カヌーツーリングの聖地ともされる。
江川崎以降であれば、水量が問題になることはない。
 
江川崎〜茅生大橋 10.7km 1.5‰
  カヌーツーリングの三大聖地である四万十川。ソロでは2011年にちょっとだけ漕ぎに来たが、みんなと一緒となると2007年以来となる(と思う)。

 その間に田畑家に男の子が誕生し、私にも伴侶ができたりするという変化が起こっている。
 メンバーは田畑くん・月さん・ゆうちゃんの一家と、さのさん・たけちゃん・わたくしゴンとヨメの、大人6人と5歳児ひとり。
 江川崎スタートで、二日を掛けて岩間くらいまでの予定。

 江川崎には集合に適した、河原横のアスファルト敷き駐車場があり、ここで待ち合わせ。正確には宮地キャンプ場という。キャンプ場と言っても、無料で管理人もおらず、場所と水とトイレがあるだけというところ。
 四万十川流域にはこのようなキャンプ場が多く設けられていて、それ以外にも上流側から順に、橘・網代・岩間・口屋内・・・となっている。

 カヌーの準備をしつつ川に入ってみると、水温の高さにアゴが外れそうになった。「ぬるい」どころではなく、「温かい」のだ。日没まで泳ぎ続けることもできそうなほど。
 これはシュノーケルをカヌーに積んでいくことを忘れるわけにはいかない。

 漕ぎ出してすぐの橋の下が、区間最大の瀬。右端の橋脚と2本目の間を通ることになるが、結構浅く、瀬に到達する前に座礁して大変な思いをするかもしれない。右から2本目の橋脚寄りは水深があるので、それを意識してルートを取れば大丈夫。
 ここの瀬は記憶にあったものよりも大きく、腰か胸くらいまで水に浸かるくらいの波があった。
 実はヨメにとって1km以上のツーリングは初めてで、沈するかもしれない瀬も初めて。浅瀬で苦労し、瀬ではナイロン製のスプレーカバーが外れ、横向きになったりしながらも、なんとか無事通過。 
 体勢を立て直すべく、左の中州に上陸。ついでに昼食。
 するとカヌー館によるカヌー体験のツアー客がうじゃうじゃ下ってきた。その数なんと30名。それにツアースタッフが加わる。
 我々のところからは、先ほどの瀬を下る様子も見通せる。すごいカヌーの密度で窮屈そうに瀬を漕いでいて、どのくらいの沈脱者がでるのか、我々もレスキューにでる必要があるのかと心配になったが、沈脱は3名。スタッフだけで対応できたみたいだけど、うち一人は膝から少し出血。彼はスタート直後からのアクシデントに心が折れた様子で、この先のツーリングは苦行と化したようだった。
 カヌー館前にある西土佐大橋からこの瀬を見下ろせると思うので、不安な場合はここからの下見をしておいた方が無難

 カヌー館の団体を追いかけるようにしてツーリング再開。この先は特記すべき瀬や障害物もなく、津大橋を越えて目黒川との合流へ。
 目黒川をちょっとさかのぼり、艇を置いてシュノーケルを取り出して川遊び。四万十川本流よりは若干水温が低かったけど、それでも十分温かい。流れに身を任せて、時には「痛っ、痛たっ」などと漏らしながら浅瀬をボディラフティングしてみたり、鮎を追ってみたり、エビを探したり。
 別のカヌー体験の団体も、目黒川にやってきた。2mくらいの岩からの飛び込みもやっていたので、彼らが漕ぎ去った後で私もやってみた。飛び込んでみると、完全に足が川底についた。これがなんと、1.5mほどの深さしかなかったのだ。浅すぎだろ (^^ゞ。 若干5歳の野生児ゆうちゃんも、躊躇なくここから飛び込んでいた。3回も。

 ここで一時間くらいの寄り道の後、すぐ下流の網代キャンプ場でゴール。参考にした地図にはトイレ印があったけど、見あたらなかったような・・・。明日はこの続きから漕ぐので、カヌー等はここに放置して、もっと下流にあるキャンプ地に向かう。

 宿泊場所は右岸側にある口屋内キャンプ場。口屋内沈下橋は通行止めで、口屋内大橋で川を渡ってアクセスすることになる。
 ひと昔前にはあった右岸のトイレは無くなっていて、その近くの廃校になった小学校のトイレを利用するよう、案内があった。ちなみに、照明のスイッチを見つけられなかったので、夜間はヘッドランプ等が必須。
 左岸にあるきれいなトイレは、口屋内沈下橋を渡った先にあるけど、沈下橋が通行止めなので、行きづらい。ただ、沈下橋が損傷しているわけではなくて、沈下橋とトイレの間のアクセス路が土砂崩れを起こしていることによる通行止めっぽかった。この土砂崩れは補修するつもりがないのか、道の駅で貰ったこの付近の地図にも口屋内沈下橋は「通行止め」という印刷がなされていた。

 キャンプ地の河原では、さほどエビを見つけられずじまい。夜はテント内が暑くて寝られず、私だけ車で就寝した。四方向メッシュ窓が自慢のテントだったのに・・・
 翌朝、起きてすぐ小雨が降り始め、沈下橋の下に移動して食事。食事が終わった頃には雨も上がっていた。
 このキャンプ地にはファルトのカナディアンカヌーでのソロキャンパーの先客がおり、カヌー等を沈下橋の下に隠して大きなザックを背負い、山の方向へ消えていった。川と山を楽しむ作戦か? 我々はカヌーの続きに向かう。

 ゴールは岩間沈下橋にする予定であったが、川辺に車を停めることができそうになく、盆期間中は沈下橋が通行止めということでゴール地には適していなかったので、もうひとつ下流の茅生大橋をゴールに変更して、網代からツーリング再開。

 前の日は二人艇にお母さんと一緒に乗っていた5歳のゆうちゃんが、一人艇での初ツーリング。うじさんから譲り受けたグモテックスジュニアで漕ぎ出した。ダッキーのくせにこれがまたなかなかのスピードで、ゆうちゃんの秘めたポテンシャルを垣間見た気がした。
 でも、最初の右カーブの瀬。怖い怖いと泣き出し、パドリングも止めて固まっていた。母親はゆうちゃん艇を横からパドルでアシストするが、奏功したようには思えなかった。無事だったけど。

 時折雨がちらつく天気ではあるものの、昼食を食べないわけにはいかない。河原に上がって食事をしていると、食べ終わる前に土砂降りになった。かなり大粒で、当たると痛さを感じるほど。激しい雨は15分くらいで止んだけど、その間は全く身動きがとれなかった。20mmくらいの降雨量だったようだ。

 最初の瀬以外はゆうちゃんも平気で、「あれホントは全然怖くなかってん」と強がっていた。男の子だねぇ。

 岩間沈下橋が見えてきた。両端に警備員が常駐していて、車の進入を阻んでいるが、沈下橋からの飛び込みも監視している様子。ここでは多くの人が水遊びをし、遊覧している屋形船もいる。四万十川を象徴する風景とされる岩間沈下橋だけに、中流域ではいちばん賑わっているようだ。
 普段の仕事で暑くて大変なときに、「早く四万十川に行って沈下橋から飛び込みて〜」と思い続けていたけど、ここに限らず最近は沈下橋からの飛び込みが規制されつつあるようだ。口屋内沈下橋では、沈下橋自体に飛び込み禁止と書かれていたし。今回の行程ではそれを実現できなかったことが心残りである。

 ここから茅生大橋まではあまり流れがなく、漕ぐのが大変になる。ここでもゆうちゃんは元気に漕ぎ続けるが、ヨメはまっすぐに漕げなくなり、苦労していた。
 そしてゴール。2日間で10.7kmのツーリングを終えた。
 キャンプ地に戻る前に、山村ヘルスセンターの温泉に寄った。あまり看板が見あたらないけど、カヌー館から、標高の高い方、高い方へ分岐を進めば辿り着く。

 そしてこの日も口屋内でキャンプ。途中の大雨のせいで、テントを閉めずにいた人は、テント内に雨が吹き込んでいたようだ。キャンプでも戸締まりは大切ですな。
 前の日も同じだったけど、脚への虫の攻撃がハンパない。18時くらいからカゲロウらしき虫が沢山寄ってくるが、実はこれは影武者。体長数ミリしかないくせに、強烈な痒みを生じさせるブヨ(ブユ、ブトともいう)が、目立たないけれどもウヨウヨしている。私は左足の裏だけで9カ所刺された。たけちゃんは右足の足首から下だけで30カ所くらい刺されたらしい。清流の証なのかもしれないけど、これは相当に辛いっす。沈下橋の橋脚のたもとに静水の水たまりがあり、これとブヨの相関が高いような・・・。
 調べたところ、ブヨには蚊取り線香や一般的な虫除けでは効果が無く、ハッカ油を使って自作するのが効くらしい。この次はこの準備を怠るわけにはいかないと、強い決意を誓う私であった。
 ちなみに、なぜかゆうちゃんはブヨにまったく刺されてなかった。野生児ならではの抗体を有しているのだろうか。

 翌朝、トイレに向かう途中でカワセミを2羽見かけた。久々の対面に興奮で、充実のひとときであった。
 ソロキャンパーが戻ってきた。山中で一泊してきたのか、もしくは黒尊川をさかのぼってキャンプ地を探してきたのだろうか。カヌーに荷物を詰め込んで、彼はまた川を下っていった。
 四万十を堪能してるよね。自由だわ。

 2012年に四万十川流域を舞台とした連ドラの『遅咲きのヒマワリ〜ボクの人生、リニューアル〜』が放送され、生田斗真・真木よう子・木村文乃等が出演していた。沈下橋から生田・真木がファルトカヤックで漕ぎ出すシーンが何度か流れたが、ドラマで使われたのは佐田・勝間・三里の沈下橋で、それらはもっと下流にある。
 このドラマの影響でファルトを漕いでいる人の数が増えているんじゃないかと予想していたけど、その影響は実感できず。何泊もしながらのツーリングであれば、この時期もっと下流に下っていた可能性もあるけど。

 最後に、2015年4月江川崎に新設された「道の駅よって西土佐」で土産を探す。2階には鉄道模型のジオラマがあり、沈下橋から飛び込んでいる人もレイアウトされていたのは、さすが四万十川。
 ここで一同解散。

 とまあ、10km強漕いだだけなのに、結構長文になってしまった。久々に書いたツーリングレポートで気合いが入ったぜ。 

 (おわり)