とつかわ | 奈良県大塔村〜十津川村 |
流域内人口密度 | 36人/平方キロ (新宮川水系) |
リアルタイム水量 | 辻堂 ツーリング当日は2.26m |
駐車場 | START 道路脇に数台。 GOAL 停め放題。 |
トイレ | なし 谷瀬の吊り橋にあることはあるが、駐車場に500円必要。 |
買い出し | たぶん無理 |
温泉 | 大塔温泉 夢乃湯(600円) さほど混雑はしないかも |
ひとこと | いきなりの堰越えが面倒だが、川自体は楽しいと思う。 ダムが連なっている川なので、荒天時にはかなりヤバいかな。 キャンプ場以外でのキャンプ禁止。 |
宇井〜上野地 10.0km 5.7‰ |
十津川は、南紀の川に出掛けるときには、いつもその脇を併走してきた川であり、熊野川の支流である。トツカワと読むのが正しく、トツガワでもなければ、トヅガワでもトヅカワでもない。
いままでここを漕がなかったのは、スタートとゴールの場所が分からなかったから。道路のはるか下を流れる川なので、そのアプローチが容易ではないと思われたのだ。だが今回、ここを漕いだことがあるという方から、スタートとゴールのおおよその場所を教えてもらっての挑戦となった。
松井さんと五條病院前のサークルKで待ち合わせた。ココより南で待ち合わせると、私のTU-KAの携帯が使えないのだ。
スタート地点で、本日2つ目の誤算。河原へ下りていくスロープが、盛り土で遮られていたのだ。水難事故でも起こったのかもしれませんなぁ。
結局、道路から艇を担いで川まで運ぶことにした。
荷物の運搬中に、5台くらいのカヤックを積んだ車が通り過ぎた。”この先にもっといいスタート地点があるのかも・・・”という淡い期待が湧いたが、我々はここからのスタートという方針を変更することはなかった。日本男児の意思は堅いのだ。
いつも通りデジカメをツーリングに持参するために、防水ハウジングに入れ、フタを閉めようとすると、「パキッ」という心地よい音が響いた。ハウジングのバックル部分が折れてしまったのだ
(T_T) 3つめの誤算だ。修理代金には5,500円もの出費を強いられた。
だから、今回のツーリングでは、上陸中以外の写真は撮れずじまい。
スタートして300m先に、この区間唯一の堰がある。落差は3mくらいか。左岸からポーテージした。積み上げられているブロックを慎重に下りていくのだが、ちょっと段差が大きいので注意する。これを過ぎると、先ほど我々を通り過ぎたカヤッカーを発見した。なんと、ロープで艇を吊り下ろしており、そうやって河原にアプローチする算段のようだ。
堰をポーテージするか、ロープで吊り下ろすか、スタートの方法はこの二択となる。
右手から川原樋川が合流してくるまでは水量が乏しく、数回ライニングダウンをした。合流すると、これ以降はまずまずの水量となった。これ以降が十津川と呼ばれ、実はここまで漕いだ区間は天ノ川なのだ。
水温は極めて低い。最高気温は20℃を超えるほどの時期になったというのに、15秒も川に足を浸すと痺れてくるほどで、ライニングダウンはかなり辛い。
水質は思っていたよりも素晴らしいものであった。水深3m以上でも底を見渡せただろう。道路から見下ろしたときの川の色とは全く異なった。
瀬は、飛沫が胸くらいまで掛かる程度のものが所々現れる。厄介なのが、瀬の中に潜んでいる岩が多いこと。ある程度艇を操ることができるようでないと、この川では辛い思いをすることになりそうな気がする。ただ、沈脱することがあっても、両岸が岩壁で、なかなか上陸する場所がない、ということはなく、意外にも広い河原があっちこっちに広がっていた。流木も豊富で、キャンプをせずにはいられなくなりそうな気分になるが、キャンプ場以外でのキャンプは全面禁止なのだ。残念。
左岸側の河原で、瀬の下見を兼ねて昼食休憩をとった。すると、炎天下の河原からヘビが顔を覗かせたのだ。二人ともヘビには極めて弱く、軽くパニクった。ツーリングを開始する際にも、艇の中にヘビが入っていないか、念入りに調べてからにしたものだ。
途中の発電所は、導水管が一本だけの小さなもので、吐き出されてくる水にも危険性は皆無。
ここからの後半戦は、工事用の仮設橋が3箇所程度に架かっていた。R168をショートカットするためのトンネル工事が進んでいるようだ。普通に漕ぐことができれば、仮設橋もさほど障害になることはないだろう。
5.7‰という傾斜の割には、それほど大きな瀬はないが、この日の松井さんはなかなか沈しない。初漕ぎなのに、操船が上達しているような印象を受けた。もうゴールまでそんなに距離が残っていないし、そろそろ本人にそれを伝えようとして振り返ったら・・・ それはまさに、松井さんがひっくり返る瞬間であったのだ。完全な瀞場だったのに。
今年も松井さんは侮れない存在になりそうである。
谷瀬の吊り橋は、有名な観光スポットである。無料で徒歩通行できる、川からの高さが30mくらいのワイヤー製の吊り橋だ。観光客がひっきりなしに通行しているので、女性がミニスカートを履く時期には、それが下から覗き放題になることだろう。ただし、そのためには双眼鏡が必要なはず。
そして、ゴール。
松井さんはこの川を結構気に入った様子。私も、奈良吉野に飽きたら、あと一時間足を延ばしてここまで来るのもアリかな、と思う。
セキレイの仲間では通常、ハクセキレイが最も多く見かけられるのだが、ここではキセキレイが圧倒的多数であった。カワセミは2羽見かけた。
〜補足〜
2005/4/17にも同区間を漕いできたので、情報の補足。
水位は2.62mで前回よりも36cmも高いが、それでもやはり川原樋川との合流まではライニングダウンしまくり。発電所を過ぎてからはまた一段水量が増え、これ以降はようやく艇のボトムを岩で擦らずに瀬を越えることができるようになった。
昨年は台風等のせいで土砂崩れが多発したエリアであり、えぐれた山肌が多く見受けられた。崩れた護岸ブロックも多いはずなので、要注意。その影響なのか、3本目の仮設橋の下がちょっと危険なことになっていた。遠目に分かるので、自信がなければ無理せずポーテージしてもらいたい。
水は去年同様非常に冷たかったが、川面に浮かんだ桜の花びらいとをかし。
2005/5/15にも漕いできた。
2.62mで水温18℃。7人で漕いできて、うち5人がのべ10回の沈をした。しかも、一つの瀬で二人以上が犠牲になったことはなく、つまり10の瀬で沈が起こったことになる。かく言う私も、岩に引っかかってもがいているうちに4〜5年振りの沈脱をしてしまった。
えーと、まぁつまり、ここには油断のならない瀬がうじゃうじゃある川であると。それも、ザラ瀬を下っていたはずが、いつの間にか勢いのある、けど水量のない岩絡みの瀬に移行している、というものがほとんど。
また、車を置ける川へのエントリーポイントというと、このスタート・ゴール以外にはなく、十津川をちょっとだけやってみる、ということは不可能。
沈脱は疲れるし、寒い。
(おわり)