由良川カヌーツーリング

ゆらがわ 京都府和知町、綾部市
流域内人口密度 160人/平方キロ (由良川水系)
リアルタイム水量 田歌
綾部
駐車場 唐戸の渓谷のパーキング 10台
河鹿荘の下流右岸の河原 10台
カヌーハウスの向かい いくらでも
和知の道の駅北 いくらでも
中地区あたりの運動公園 いくらでも
出野地区の河原 数台
立岩近くの道路 10台?
綾部駅 数台
観光ヤナが入るところ いくらでも
笠原神社 10台
トイレ 唐戸の渓谷のパーキング
観光ヤナ(オフシーズンにも仮設トイレは撤去されなさそう)
笠原神社
買い出し 道の駅
コンビニは綾部の街中にはあるが、他にはなかったように思う。
温泉 福知山温泉「養老の湯」(700円) 庭園がとにかく素晴らしい。一番好きな日帰り温泉。
ロイヤルヒル福知山(700円) 単なるホテルの付帯設備ではなく、立派なものらしい。
自然文化村 河鹿荘(500円) 風呂であるが、日帰り温泉と同じ気分に浸れる。
ひとこと 掲載した区間以外にも様々なツーリング区間を選べ、さしずめ近畿の長良川といったところであろうか。

唐戸の渓谷〜河鹿荘 2006/5/21

唐戸の渓谷〜河鹿荘  10.7km   7.5‰

 旧美山町を流れる由良川は美山川と呼ばれることが多い。美山川には一般に2つのツーリングエリアが存在し、その上流側を漕いできた。
 ここは渓谷部が長く、下見もしづらく、途中で退散することが困難な部分も多いため、由良川で紹介している区間ではもっともハードルの高いエリアである。

 普段漕いでいるメンバーをうさぎさんチームとかめさんチームに二分すれならばうさぎさんチームに属する松井さんと二人でのツーリングだ。この日の田歌の水位は0.71m。
 スタートはトイレ付きのパーキングエリアで、川に降りるには階段と護岸の上と獣道を辿る必要がある。漕ぎ出してすぐに3つの落ち込みが連続するが、下見がしづらいので、川に降りていく途中に見下ろして「ふ〜む」などと唸るしかない。3つとも岩が絡んで水路が狭く、垂れ下がった木の枝も気になるし、ちょっとややこしい。ルート取りを間違えなければ簡単に下れると私は感じたが、松井さんは最初の瀬で写真の体勢から沈脱した。流れに対して横になってしまい、岩に引っかかったような感じであろうか。残りふたつも似たり寄ったりで、この区間は初心者は遠慮願った方がいいと思う。
 ここまでの500mで「やばい」と感じたなら、この区間のツーリングはもうやめにしたほうがいい。その場合には、川の中を歩いて引き返すか、はるか上方にある道路まで林の中をよじ登っていく必要があり、非常に大変な思いをする。少しでも引き返しやすいように、諦める場合は出来るだけ早く決断するべきであろう。
 この渓谷部は3.5kmでおわるが、この3つの瀬が区間のハイライト部分である。ちなみに、渓谷を抜けたところにもスタート好適地があり、そこから漕ぎ出すのも可能だ。

 メインの道路から北へ川が迂回している部分について。この中ほどに橋が架かっているが、その手前でルートが二手に分かれている。左ルートをよ〜く見ると、倒木がストレーナーとなっており、間違ってそちらへ行くことのないよう注意がいる。で、右側はというと、両側に草木が迫っていてずいぶんと圧迫感があるところを通る羽目になるのだ(右写真)。
 このすぐあと、チョ〜危険なところがある。コンクリートの護岸ブロックを組んだ堰とか橋とかが崩れたようになっていた。この間を艇で通過できたのだが、落ちた下にもブロックがあったかもしれず、下見をしなかったことに肝を冷やしたものである。
 ここは必ず事前にチェックしておくべきポイントなのだ。・・・といっても、道路からのアプローチは田畑を害獣から守る電流付きの鉄線が張り巡らされているようで、車では近づけないかもしれない。ダウンリバーの途中で上陸して確認するしかないかも。

 次なる障害は堰堤である。これも事前に道路等から下見することができない。右岸側から艇でアプローチし、堰の直前で降りて(水深は膝上くらい)、胸くらいの高さのコンクリートをよじ登れば、あとはあぜ道のようなものがついていたので、そこをポーテージすることになる。

 この川は瀬が多くて流れが速いうえに、岩がいやらしいところに点在していることが多いように感じたが、それは堰を超えた後半も同じ。ただ、危険個所はあとはもうなかったように思う。
 ここを10kmも漕げば、瀬でお腹一杯になることは間違いない。

 ゴールに河鹿荘という宿泊施設があり、入浴させてもらうことが出来る。石鹸に由来するシャンプーが備え付けられていて環境への配慮がうかがえるが、その予備知識がないと泡立ちが悪いので少々焦る。

 河鹿荘以降は、1km間隔で堰が設けられているような感じで、この辺で上陸しないと辛い思いをするだけではないかと思ったり思わなかったりする今日この頃でした。
 

立岩〜笠原神社 2005/9/19

立岩〜笠原神社 6.4km 3.4‰

 由良川での最も一般的なツーリングコースといえば、この立岩〜綾部の7kmであろう。ここを下るのは4年振りの二度目だ。
 立岩のすぐ上流右岸に広い空き地があって、車を置きたくなるが、残念ながらココは私有地であり、過去に駐車トラブルが起こったらしいので、現在は駐車厳禁。道路の脇に仮眠スペースのようなものがあり、ここに停めるよう指示してある書籍も見たことがある。
 立岩では深い渓谷になっており、川岸に出るためには、結構な距離をおりていかなければならないのだ。
 立岩には、300mの間に4つの落ち込みがあり、もしも泳ぐことになれば、相当疲れるはず。左写真は、その一段目と二段目を写したものだったように思う。水位は、綾部で0.80mの状態。
 立岩のコンクリート護岸が切れると、しばらくは人口構造物が一切目に入らない区間が現れる。市街地にわりと近いのにこんな風景が見られるとは、うれしい誤算であった。水質に関しては、BODはA類型であるが、まぁそれなりに・・・
 最初の吊り橋を越えると、流れが右岸に集中しているところがある。それほど波は大きくないのだが、その瀬の本流上に竹が垂れ下がってきている。4年前に漕いだときにはこれを完全には避けきれず、パドルを持った指に打ち身を作ってしまったのだ。今回は竹の左を無事通過し、リベンジ。
 このあとも、長良川上流に匹敵する傾斜のおかげで、流れる瀞場と小気味いい瀬の繰り返し。景色も良く、なかなかに気分がいい。
 三点セットの瀬というのがあるが、たぶんそれの近くの左岸側に、川幅の1/3を塞ぐ格好で観光ヤナが一箇所仕掛けられていた。右岸側にも十分な水量があったので、それを避けて漕ぎ下る。
 ヤナがあることでも分かるように、由良川は鮎釣りの盛んなところで、15人近くが友釣りをしていた。しかし、そこそこ川幅があるので、それを回避することはさほど困難ではない。

 スタート地点で見かけた10名弱のロデオパドラーは、結局全員がスポットプレイを楽しみに来たようで、ツーリング途中にほかのパドラーを見かけることはなかった。従って、ロデオデビューを考えているパドラーの極秘練習には最適な川かもしれない。また、水温は異常に高く、真夏のそれのようであったので、体が冷えることを気にせず、ガンガン練習するがよい!

 この前漕いだときよりも瀬や風景が好印象で、片道2時間という近さを考えると、毎年漕ぎに来たいと思った。スタート時の川へのエントリーの大変さがネックではあるが・・・

【補足】
 05/10/2に漕いだときには綾部で0.62m。このときは水質がBOD類型Aに相応しい水質であったが、ほとんどの瀬でボトムを擦る状態で、かなり迫力不足。やはり0.8m以上欲しい。
 ヤナは既に撤去されており、その辺りの落ち込みが区間最大の瀬となっていた。
 

道の駅「和」〜広野 2004/7/4

道の駅〜広野 3.9km 2.6‰

 今回漕いだのは立岩のある区間よりも上流部の和知町内。和知町では由良川は和知川と呼ばれている。こちらの方が瀬が小さく、難易度が低い区間である。今年初めてのソロツーリングだ。
 前にここを漕いだときは道の駅和(なごみ)をスタートとしたので、今度はもう300m上の堰下からに決めた。ここで着替えをしたのだが、不吉な前途を表しているかのような出来事が起こった。まず、ラッシュガード(カヌーの半袖シャツ)の前後を間違えて着たこと。続いて、海パンまで前後を間違えて履いたこと。さらには、半パンのネオプレーンパンツの裏表を逆に着用してしまった。
 今日は何かが起こりそうで、特に慎重にツーリングをするように自分に言い聞かせつつツーリング準備を進めていると、隣にある町営のカヌーハウスの職員が声を掛けてきた。
 「この堰から下は漁協との取り決めでカヌーは自粛することになってるんですよ・・・」
 自粛区域の下限は、この1.6km下にある橋までとのことであった。その区間に瀬が集中しており、面白味のあるところなのにぃ。堰の上は、カヌーハウスが優先利用を得るのと引き換えに、その区間を漁協に明け渡してしまったようだ。
 どう思います、これ? カヌーハウスは初心者にカヌー体験をさせるために、目の前の静水域を使うことができればそれで十分であろうが、遠方からツーリングに来た人は遊べないではないか。そもそも、カヌーハウスはそのことをカヌー雑誌やホームページ・地元の看板等で告知しているのだろうか。勝手に漁協との間で取り決めを交わし、なぜ我々がそれに従わなければならないのか。カヌーハウスはこれによって売上を上げ、カヌー客は地元にも金を落としている。金を使っているのは鮎釣り師だけではない。
 そもそも、川を占有する権利は誰にもない。漁協にも、我々パドラーにも。退けと命令されるいわれはないし、言う権利もないはずだ。
 「とにかく、伝えましたからね。」と言い残して職員は去っていった。彼は、私が釣り師とトラブルを起こした場合の責任逃れをしに来たのだ。まったく気分が悪い。
 着替えでこてずったのはこれを暗示していたのかもしれない。
 

この件に関して和知町から回答があったので、以下に引用します(原文のまま)。
欲しい内容についての回答にはなっていませんけど、対応は早かったです。
 私は、道路情報センターの春田貢と申します。
 7月4日和知川でのカヌーの件につきまして、せっかく和知川へ来ていただきながら、カヌーを楽しんでいただけなかったこと、大変申し訳なく思っております。
 6月20日から和知川でのアユ漁の解禁で釣り人も多くなり、カヌー愛好者の体験も多くなってきております。
 以前には、釣り人とカヌー愛好者の皆さんとトラブルがあったようです。和知川でカヌーを体験していただく方には、釣り人にはもちろんのこと、カヌー愛好者の皆さんにもお互いに十分きおつけていただくようにお話しをさせていただいております。
 当日は、堰堤より上流でカヌー教室等があり、数名指導者がおりましたが、私の不十分な指導で中山様に不愉快な思いを与えてしまったこと深くお詫び申し上げます。
 6月から9月までは、アユの漁期でもあり堰堤より下流については格好の魚場でありますので、釣り人の方、カヌー体験の方にもお互いにマナーを守っていただくように啓発用の看板も掲示し、お話しをさせていただいております。その対応で、不十分なところがあったこと大変申し訳なく思っております。ご指摘いただきまししたこと反省し、今後にいかして行きたいと思っております。
 十分な回答になりませんがお許し下さい。
 カヌーのことにつきましては、春田が担当しておりますので、ご指導下さい。
    道路情報センター 春田貢
         電話0771-84-1522


 スタート地点は結局道の駅の沈下橋からに変更した。前置きが長くなったが、ここでようやくツーリングがスタートするのだ。
 前半は小気味いい瀬が続く。胸くらいまで波が掛かることがあるが、初級者でも沈することはないようなレベルのものである。瀬が余りなくなる後半では、鳥のさえずりや葉のこすれる音・竹の軋む音といったことしか聞こない、静かな山間の流れを味わえる。
 水質は残念ながら清冽とは言えないが、それでもカワセミを一羽見かけた。さらに、14か月振りにヤマセミまで発見することができた。西日本の川でヤマセミを見つけたのは、私自身初めてである。しかも4羽という大盤振る舞い。
 ヤマセミを見たことで、私の中での由良川のランクは大幅アップ。納得のいかない漁協との取り決め問題を差し引いても、なお大きなお釣りが出る。
 途中にいた鮎釣り師は1名。彼の後方を、ライニングダウンしてやり過ごした。これとは別に、ルアー釣りが2名。
 川沿いには河原が少ない。両岸ともに草木が茂っていることが多く、河原が希少な上、日陰で休憩したいだの何だの言っていると、ゴールまでの距離が短いので、休憩をとれなくなるかもしれない。
 それから、川を横断するヘビが一匹。たしか前にココを漕いだときにも泳ぐヘビを見かけたように記憶している。これをヤマセミが捕まえるシーンを見てみたいものだ。ヤマセミがヘビを補食するのかどうかは分からんが。

 帰りに兵庫県篠山市の草山温泉(700円)に寄った。赤錆色の含鉄泉で、いかにも効きそう。モンゴル民族博物館が兵庫県但東町にあるが、そのPRを兼ねてモンゴルレストランと簡単な展示品があり、ゲルで食事ができるようになっている。また、ゲルでの宿泊体験もできるようだ。観光客は全然いないけど、興味深かった。

*** 補足 ***
 05/5/1にも下った。漕ぎ始める際に関西電力の車が来て発電のため13tの放水を開始したので、もうすぐ水量が増えるぞ、という告知をされた。水位は20cm程度増え、瀬の楽しさもアップ。その状態が、綾部の水位計では0.80mであった。
 09/3/21には綾部が0.88m。この水位では道の駅裏の瀬はソロで下るには不安で、その瀬の下から下った。途中にあるザラ瀬はすべて消失していた。

(おわり)