カヌーって何? カヌーの魅力 カヌーの種類 カヌーの選び方 その他のグッズ カヤックの車載 よくある質問 ゴンのカヌー事始め |
私なりに定義すると、
「外部の動力を用いず、人の手でパドル(オール)を操り、操縦者の前方に進む1〜2人乗りの舟」となります。
前方に、というところが、ゴムボートや公園のボートと異なります。
リバーツーリング(川を漕ぎ下る遊び)に限って言えば、現在の日本列島が形作られた数千万年前からず〜っと絶えることなく流れ続けてきた川の水と、同じ時間の流れを感じることができます。時間の流れか緩やかなんですよね。川からの眺めも新鮮です。堤防道路を走る車を仰ぎ見て、何を急いているのだろう、という気になります。
また、流れが速くなっているところ(瀬)では、頭まで波をかぶり、視界を遮られ、それでもパドルを操り、己の力でそこを漕ぎ抜けたとき、その爽快感は、格別です。時にはひっくり返ることもありますが、それも慣れてくれば嬉しくも感じるものです。
さらにソロツーリングなら、中州があって左右どちらへ進もうか、水深が深いのはどの辺だろう、という細かい判断をすべて自分でしなければなりません。そういった細かい判断が常につきまといます。大袈裟に言うなら、自分で人生を切り開いていくような、そんな感じも受けます。
カヌーには、ツーリングやスポットプレイといった遊びがありますが、ツーリングを楽しむだけであれば、一番疲れるのは、カヌーの運搬になります。スポーツと呼べるほどには体力はあまり必要ありません。非力であっても、女性でも楽しめます。
それから、一旦アイテムをそろえてしまえば、掛かるお金は交通費のみで、安上がり。
カヌーをたしなむ人の層も、良質です。ヤンキーや、チャラチャラした連中は少なく、ゴミやタバコのポイ捨てなどを平気でする人が多く存在する一般の人々とは、一線を画しています。
目立つスポーツではないので、モテたいから、という理由で始めようとするのなら、カヌーは不向きです。たとえば、ロデオカヌーの大会等で凄い技をしていても、カヌーをやらない人から見れば、ただ溺れているようにしか見えませんし・・・ (^-^;
でも、カヌーをやっているといえば、好印象を持ってもらえることは多いとは思います。
欧米では、「カヤック」と「カヌー」が明確に区別されているようですが、日本では両者をひっくるめてカヌーと呼びます。そのため、後者をカナディアンカヌーと呼び分けています。
カナディアンカヌー
一般的に、デッキ(甲板の部分)が開いているもので、パドルの片側にのみブレードが付いたシングルパドルで漕ぎます。オープンデッキカヌー(OC、左写真)とも呼びます。
着座姿勢は、椅子に腰を掛ける、または腰を浮かせた正座。通常4m以上の長さがあり、荷物がたくさんはいり、フネの上で立ち上がることが出来るくらいの安定性があります。20kg〜。強風にあおられやすい。
水が入って来やすいので、あまり大きな瀬に入ると水船になるが、空いているスペースに空気袋(浮力体)を詰め込んだうえで、瀬で遊ぶことを前提としたものや、クローズドデッキカヌー(CC)も多からず存在します。カヤック
一般的に、デッキが閉じられているもので、、パドルの両側にブレードが付いたダブルパドルで漕ぎます。着座姿勢は、床に足を放り出して座り、そのヒザを開いてカヤックの内側に押しつけるカンジとなります。長さは、川用で2〜4mと回転性を重視した長さで、13〜22kg。海用(シーカヤック)は4〜6mくらい。
腰とコクピットの間にスプレーカバーというものを使って水の進入をほぼ防ぐことができるため、スキル次第では大きな瀬に挑むこともできます。
わたしは、リバーカヤックを好みます。ファルトボート
組立式のものをいい、カナディアンタイプもカヤックタイプも市販されています。フォールディングカヤックとかフォールディングカヌーとも呼ばれ、安定性・直進制に優れています。
フネの形をしたビニールの中に、骨組みを押し込んで作る構造になっており、種類によりますが、組立時間は15分〜60分。重量は13〜25kgで、これを担いで、公共交通機関などで移動してツーリングすることが出来るのがファルトボートの最大のメリットです。インフレータブルカヤック(ダッキー)
空気を入れるだけで組み立てが完成するカヤックをいいます。安定性はファルト以上で、ファルト以上にコンパクトになるので、これも電車ツーリングが可能です。
右写真のものは、収納時5.2kg・定価3万円とお手軽なもので、最大積載量は80kg(すでに生産中止)。
インフレータブルカヌーは安定感が高い一方で、流れとの一体感が希薄で、面白味に欠ける傾向があります。本体重量は、通常10kg〜20kg。風に弱い。
ファルト同様に、収納時に水を拭き取らなければいけないという手間が掛かります。
基本条件別に考えましょう。
収納スペース あり どれでも可 なし ファルトかダッキー
漕ぐ場所 海で漕ぐ 風に対する抵抗の小ささから、カヤックを選ぶのが普通です。ファルトのシーカヤックも存在します。 川で漕ぐ 以下参照 湖で漕ぐ 造波抵抗の小さいもの(より長細いもの)の方が楽なので、シーカヤックが一番向いていますが、沿岸部を漕ぐ程度ならどれでも構いません。
川で漕ぐ ロデオプレイ 2.4m以下の短いカヤック ツーリング 上・中流部 岩の多い区間を想定するほど、短い方が有利。カヤック・ファルト・ダッキーか、カナディアンであればロデオ用で。 中・下流部 どれでも可 キャンプツーリング テント・寝袋・調理器具等を運搬するため、積載能力に富む4m以上のカヤック・ダッキーかカナディアン 川で見かける多さの順では、
カヤック > ファルト > ダッキー > オープンカヌー > クローズドカヌー
のように思います。いちばん画になるのはオープンカヌーですね。どのタイプか決まったら、それぞれの選び方を見てみましょう。
カナディアン まずはOCのロデオ用でないものを選びましょう。CCの所有者も最初はOCから始めたはずです。
それ以上のことは分かりません (^^ゞリバーカヤック 初心者用から、ロデオ用、スラローム競技用まで様々ですが、やはり無理せず、長さ2.5m位の初心者用をお勧めします。用途的には、ダウンリバー艇とかツーリング艇と言われるものです。上級者用は、回転性が高く、その代償として直進性・安定性に乏しいです。カヌーというのは、もともと真っ直ぐには進まないものなのですが、いきなりそれだとイライラしてきて、楽しむどころではないかもしれません。また上級者用は、デッキに水が乗りやすい形状(横から見たときに、前も後ろもえぐれている)をしており、上級者はそれを利用して、流れの中でアクションを付けたり、回転半径の小さなターンを決めますが、初心者では、その形状が沈につながります。
それから、スターン(艇の後ろ)に、水抜き用のキャップ(ドレンプラグ)が付いているものの方が、水抜きがはるかに楽です。
あとは、ボトムの形状。丸みを帯びた底(ラウンドボトム)は、艇を傾けることが容易で、基本動作を身につけるにはうってつけ。それに対し、最近流行りの底がぺったんこのもの(フラットボトム)は、安定している反面、艇を傾けづらく、初心者にはどうかと、個人的に思いますが、ラウンドボトムは入手できないかもしれないので、フラットボトムでも構わないでしょう。
定価で13〜18万円。中古を探せば5万円くらいで見つかるでしょう。
材質はポリエチレンが普通で、ポリ艇と呼んだりしますが、FRP製のものは軽い代わりに衝撃に弱いので、シーカヤックに用いられます。ダッキー 船体ゴムが二重構造か一重かの問題があります。川底で引っ掻いてゴムを破ってしまった場合、二重構造のものは内部のエアチューブまでは被害を受けにくいのですが、重量が二倍近くとなるため、どちらのタイプにするかが大きな悩みどころです。
セルフベイラー。これは、艇内に溜まった水を自動排水してくれる便利な機能なのですが、要は、艇のボトムに穴が空いていて、艇内を水がチョロチョロと出入りするというものです。ボトムにも気室があって浮力を持っているので、それによって沈んでしまうことはもちろんないのですが、当然、水温が低い時期になると寒いです。セルフベイラーを開閉できるようになっているものもあります。セルフベイラーが付いてないもの、またはあってもそれを閉じていると、艇内に水が貯まる一方ですので、気になるくらい溜まったらそれを汲み出してあげなければなりません。
あと、ゴムに空気を入れただけの構造のため、炎天下に放置しておくと空気が膨張し、最悪の場合ゴムが破裂するかもしれません。それを防ぐために、減圧弁(内部圧力が高まると空気を入れる穴から、それを逃がす構造を持つバルブ)ものもあり、これがあるに越したことはありません。
艇の幅が広いものが多いため、パドルは長め(220cmくらい?)のものを使わないと水を捕らえづらいです。
それから、インフレータブルカヤックには、二人艇が多く存在します。二人艇に一人で乗った場合、荷物はたくさん乗りますが、回転性は小さなものに比べて悪くなります。全長3.2m程度の二人艇が売られていますが、この大きさでは足を伸ばして乗ることができません。二人乗りで弁当や着替えも積んで下ることを考慮すれば、最低でも3.8mの長さが必要です。
インフレータブルカヌーの売れ筋ランキング ファルトボート 真っ先に考えるべきことは組み立て易さです。せっかく買っても、組み立てが面倒だからという理由で箪笥の肥やしになってしまうケースが多いため、とにかくそれが最優先です。簡単なのは、アルフェック・フジタの両社です。ともに慣れれば15分で組み上がります。難しいのは、フェザークラフト。1時間を覚悟しましょう。
第二にフレームの素材。下記参照
アルミ 曲がっても応急処置が可能。軽量だが、海で使うと錆が発生することがある。 ウッド 強度はアルミと同等。ツーリング後には、水を吸って少々重くなる。 FRP 強度は最上級。過負荷が掛かったときには、曲がるというよりも見事に割れる。高価。 第三に船体布。ファルトの船体布は破れるのが宿命でもあり、初心者には特に厄介なのですが、その破れを小さくするリップストップが入った素材があります。船体布に、2cm角の格子状の補強線(?)が入っていて、裂け目がそこで止まるようになっているものです。船体布を内側から見れば、リップストップが入っているかが分かります。
それから、デザイン。組み立ては大変ですけど、フェザークラフトは美しいシルエットと、カッチョいいメーカーのロゴが入っていて惚れ惚れします。ただ、値段にも驚きです。
ファルトの回転性は最悪で、ポリエチレンカヤックと比べると、その乗り味は別物です。少しでも短い艇を選んだ方が回転性は良くなりますが、ロングツーリングでは荷物の積載量に制限がでてくるので、用途をよく考えてから買いましょう。
後々ポリ艇を購入してしまうと、組立が面倒なファルトは使われなくなっていくケースが殆どです。ポリ艇を買うかもしれないのであれば、はじめからポリ艇を購入することを検討した方がいいかもしれません。
メーカー・販売店リンク フェザークラフト 最廉価版モデルでも40万円もすることから、ファルトのロールスロイスとも言われる アルフェック ファルトカヤックならこの両者が無難 フジタカヌー アリー カナディアンタイプの代表 だいたい決めたら、あとはショップの店員さんと話し合って決めて下さい。
PFD
(ライフジャケット)
10千円〜 ポケットがある方が便利。
パドル
(オールのこと)
10千円〜 5万円以上のものもあり、恐ろしく高価。
軽いに越したことはない。ファルトやダッキーと一緒に持ち運ぶために、2〜4分割式のものもある。
非力な人は、パドルに「しなり」があったほうがベターらしい。
ダブルパドルのブレードのねじれ角(フェザー角)が小さい方が、右手首を痛めづらい。その反面、風の影響を受ける。一般に、45〜90°。
シーカヤックでは長時間漕ぐため、手首保護目的でアンフェザー(フェザー角0°)を使うのが普通。
ロデオ等でアクティブに遊ぶ人ほど短いものを使用する傾向がある。普通のカヤックツーリングであれば、190cmくらいかな。ヘルメット 6千円〜 耳あて付きの方が初心者には安心。
スプレーカバー
10千円〜 腰に履いて、すそのゴムをカヤックに取り付け、艇内への水の進入を妨害するもの。 ロングジョン(カヌー用ウエットスーツ、夏期以外は必要)
12千円〜
カヌー用は、座った状態での使用にフィットするように裁断されています。よって、直立姿勢では臀部の生地がだぶついており、よく見ると格好悪いです・・・
ツーピース(ロングジョンとは呼びませんが)の方が、使い方に幅が出ます。パドリングシューズ
4千円〜
ローカットのものは、すぐに砂が入ります。
足元が広い艇であれば、スポーツサンダルでも構いません。
狭い艇では、乗艇時に裸足になるという選択肢もあります。速乾性シャツ 2千円〜 ポリプロピレン素材など。ラッシュガードといわれるもOK パドリングジャケット
(真夏以外は必要)7千円〜 ポケットがある方が便利。 ドライジャケット(11〜4月には必要) 15千円〜 首や手首からも水の進入を防げるようになっており、水温が低いときには必要。ポケットがある方が便利。 ドライバッグ(運搬荷物を水から守る袋) 3千円〜 大きいものをひとつだけというよりは、小型のものに分けて入れた方が、艇内に収めやすい。 車でのカヤックの運搬は、一般的に屋根に載せます。
平積み 立て積み 平積みの場合にはルーフキャリアは基本セットだけで構いませんが、立て積みの際には専用アタッチメントが必要です。THULE(スーリー)のカヤックキャリア520-1が一番多く出回っているようで、私もそれを使ってます。上の平積み写真ではそれを倒してありますが、立てると立て積み写真右のようになるので、それに艇を括り付けます。
平積みでは一艇しか載せられませんが、立て積みにすると、二〜三艇載ります。
使用するストラップの長さは3m程度で、ストラップの端が余ったらストラップと艇の間に挟み込んで、ストラップが暴れないようにします。
ファルトを載せる場合にはファルトの空気を少し抜いた方が安定するという話を聞いたことがありますが、ダッキーでもおそらく同じでしょう。
3枚の写真それぞれで車種が異なりますが、それはご愛敬で (^_^)
固定の際に気をつけなければならないのが、前後左右に本当にずれることがないかです。
前後 上の写真で、ストラップが艇のフック(?)を通っているのがわかるでしょうか。ストラップが切れることがない限り前後にはずれることがありません。平積みではコクピットを下にして積んだ方が空気抵抗が小さくなるし、雨も入らないのですが、私はこの方法で固定することが多いです。
もしくは、艇の前後に2本のひもを掛け、車のバンパー付近にある牽引フックから引っ張る方法もあります。この方法はタイダウンと言われます。左右 左写真ではストラップがルーフキャリアのアタッチメントとフットに左右を押さえられており、左右にずれないようになっています。
左右を押さえられない場合は、右写真のようにフットを巻き込んでストラップを掛けるようにします。
また、カヤックを車内に放り込むという運搬方法もあります。デミオクラスのコンパクトカーでも、助手席を倒せば入るようです。
通話可能エリアの広い携帯電話会社を選ぶに越したことはありません。電波が入るかどうかというギリギリのところを漕ぐことが多いので、結構コレが効きます。一般論で言えば、ソフトバンクはNG。電波の繋がり具合は基地局の数だけではなく、使用周波数帯にもよります。ソフトバンクの周波数帯は、特に山間部などでは電波が届きにくい状況は避けられないようです。
残りのDoCoMoとauを比べると、ややauの方がエリアが広いです。DoCoMoはmovaからFOMAに切り替わる際に基地局に互換性がなかったせいで、FOMA用の基地局を整備しなければならなかったのが現在にも響いているようです。
携帯電話自体でいえば、濡れた手で触ることはないにしても防水性能を持っている機種の方が安心ですし、耐ショック性能を備えていればなお安心です。
ちなみに私の所有している機種はどちらも持っていないauのものです。
どうやって漕ぐの? ・・・ 秘密 (^-^; イラストを作ったり、動画を載せる技術がないので、それは他のサイトで勉強してください m(._.)m
ひっくり返ったらどうするの? ・・・ ロール(エスキモーロール、ローリング)という技術があります。ひっくり返って(沈するという)も、パドルを使い、元通りに起きあがる技ですが、これが出来るようになるまでは、脱(艇から脱出すること)するしかありません。沈脱してから、艇を水辺まで泳ぎながら押して行き、中に入った水を抜きます。ロールができない人も多いので、必須技術というわけでもありません。
カヌーの中に水が入ったらどうするの? ・・・ 漕いでいる以上、内部に水が入ることは避けられません。カヌーの容積は200リットル以上あります。ここに10リットル入ったところで、多少の操船の妨げにはなりますが、カヌーは沈みません。気になったらその都度カップやスポンジ、またはポンプ(右写真)で汲み出します。
どこで漕げばいいの? ・・・ カヌーは水深が30cmもあれば漕ぐことができます。それ以上の水量があるところなら、どこで漕いでも構いません。カヌー関連の本には、カヌーに適したエリアが紹介されています。当サイトでも沢山紹介しています。それを参考にするのが手っ取り早いでしょう。
自分でエリアを開拓するのも楽しいですが、スキルが向上するまでは危険なので、それはやめて下さい。リバーツーリングしたら、どうやってスタート地点に戻るの? ・・・ 何人かで出掛けて、車が複数台ある時には、スタート地点とゴール地点に止めておき、ゴール後にスタート地点の車を回収する、という方法を採ります。そうでないときには、ファルトやダッキーの場合は、カヌーを背負って公共交通機関で移動できますので、電車・バスやタクシーなどでスタート地点に戻ることができます。自転車も使用可ですし、徒歩という手もなきにしもあらずです。 川や海で遊ぶのにはお金や申請が必要なの? ・・・ 必要ありません。川や海というのは、道路と同じです。同じ川で遊ぶ人(釣り師など)への配慮は必要でしょうけど、好きに遊んでもいいのです。ただし、池や湖といったところは、権利が絡み合っており、カヌー禁止であったり、料金を徴収される場合があります。 どのくらいのスピードが出るの? ・・・ リバーツーリングでは、通常の流れなら時速5kmくらいです。歩くような速度で川からの眺めを堪能できます。海は海流が絡むので、まちまちです。
カヌー仲間はどうやって探すの?・・・ カヌー用品の購入でお世話になった店や、カヌースクールには、たいていクラブがあります。それに入るのが、手っ取り早いでしょう。ネットで購入するとそれができないんですけどね。私の場合は、下記の「事始め」に記述しています。 何から買い揃えればいいの?・・・ カヌー本体は、複数台所有している人が多いので、仲間から貸してもらいやすいのですが、ウェアは、それほど余っていません。ウェアを先に購入することをお勧めします。でもウェアだけ持ってるというのも変なので、やっぱり同時に買うのが普通。
【動機】
私がカヌーに興味を持ち始めたのは、野田知佑氏の著書から。野田氏は、愛犬ガクとともに、ファルトカヤックであっちこっちの川にツーリングに出掛け、その紀行文を書いている。いつか、私も野田氏と同じように様々な川をカヌーで下ってみたい、と思うようになっていた。そして、新潟から松本への転勤を機に、カヤックを始めることにしたのだ。
【体験】
まず、97年4月に野尻湖で行われているカヌースクールで、はじめてカヤックというものに乗ってみた。なかなかまっすぐに進むことができず、いらつくこともあるが、水上にあぐらをかいたような視線で眺める景色は今までに経験したことがないものであり、新鮮であった。
とりあえず湖上でのカヌーを経験したので、つぎは川での講習である。これは、京都府笠置町で行われる木津川でのカヤックスクールに行った。午前中は静水域での講習で、午後はショートツーリング。この川は、初めて川下りを経験するには最適な川で、瀬といってもスタート後間もないところに30cm位の波が立っているだけ。この箇所では、徐々に波が大きくなってきて、船底が水面をバンバン叩いてくる。少しの恐怖心もあるが、面白いのだ。そして川はそのまま左へカーブ。このあたりが最大の波の部分だ。うまく曲がりきれないと、岩肌に押しつけられることになるのだが、無事通過。この日は講習生が9人(うち女性は5人)であったが、この瀬で男女1名ずつが沈した。そのあとは難所もなく、ただとうとうと流れる川の水に身を任せておけばいい。川の上から見上げる風景というのは、やっぱり格別。他の講習生も、沈をした人も含めて水上散歩を十分堪能したようであった。そして私は自分のカヌーを買おうと思った。【購入】
まず、候補に挙げたのは「アミューズ」という10万円のファルト(現在では、製造されていない)。 いろいろな店で話を聞いたり、値段交渉をしたりしているうちに、アミューズよりももっと丈夫なファルトが欲しくなり、琵琶湖カヌーセンター・大阪カヌーセンター・東海カヌーセンター・新宿のICI本店などを見て回り、ICIで「ボイジャー360」というファルトとグッズ一式を購入。20万円前後だったと思う。出費額は大きかったが、あこがれのカヌーライフが幕を開けた感じで、うれしかった。部屋の中で、ファルトの組み立て練習をし、何度も何度も、室内でそれに乗って、パドルを握ったのであった。
【はまる】
カヌーが手に入っても、とても一人で何の情報もない川を下る勇気はない。当時はインターネットも普及していなかったし、近くにカヌーをやっている人はいない・・・ そこで活躍したのがパソコン通信・NIFTYのフォーラム(FODS、閉鎖済み))だ。カヌー好きな人がオンライン上で集い、ツーリング等の企画を練ったりしていたのだが、ここで、「難易度の低い川を教えて」「誰かツーリングに連れてって」と呼びかけた。そして、千曲川を紹介され、一人で行って来た。幅のある川にぽつんと一人カヤックを浮かべ、流れていく。堤防道路を走る車に対して、大きな優越感を感じた。それから、犀川に連れて行ってももらった。同行してくれた方々は、上級者の方も多く、私が初めて経験するような大きな波も、比較的安心して下ることができた。さらにFODSで、当時の私の住まいであった松本の近く・犀川でツーリングが催されるとのこと。早速参加表明し、20名くらいの大人数でツーリングし、夜は河原でのキャンプ。カヌーにはまったと感じた瞬間である。
【その後】
8月に、野尻湖でロールのレッスンを受けた。カヤックのレンタルと、4時間のスクールで、9000円だったと思う。この時の練習内容を思い出しながら繰り返し練習するうちに、ロールはほぼ会得。
そして9月で会社を辞めた。兵庫の実家に戻ろうにも、そこはカヌーには適していないとの理由から、岐阜へ移り住んだ。清流長良川が流れているからである。借りたアパートを探すときにも、カヌーを保管できることを第一条件とした。
NIFTYを通じた知人も沢山でき、中部地方の川に行きまくり、カヤックも3艇に増え、一年のうち40日以上カヌーに乗っている、という生活をしていたが、再就職先は長続きせず、貯金も底をつき、残念ながら兵庫の実家に戻らざるを得なくなったのだ。
そして現在は、年間20日くらい、中部地方や紀州の川を下りに行く程度。兵庫からは、いい川が遠いんですよね・・・