錦川カヌーツーリング

にしきがわ 山口県美川町〜岩国市
リアルタイム水位 南桑
駐車場 根笠 駅前の橋の辺りに駐車できたはず。
南河内 駅から川に出たところの右岸側に10台程度駐車可能なスペースあり。
錦帯橋 観光用駐車場。
トイレ 錦帯橋
買い出し 岩国市街で
温泉 近くにはないかも
ひとこと 四万十川よりも水質がいいとしている書籍もあり、私もそう思う。
以下で紹介した区間は初心者も安心して漕ぐことが出来る。
鮎以外の釣りも盛んであり、注意。
 
根笠〜北河内 9.8km 3.1‰
南河内〜錦帯橋 10.0km 0.7‰

南河内〜錦帯橋 (98年10月30日)

錦川 この川のツーリングをする際の一般的なゴール地は錦帯橋。この橋は有名な観光地であり、ここにカヌーを放置して、上流の車を取りに戻るのは難しいと思い(イタズラされることを考えて)、車はゴール地点の無料駐車場を使うことにする。スタート地点は、南河内駅付近に決め、その近くの河原に艇を隠し、再びゴール地点に戻り、車をおいて、電車で川西駅から南河内駅に遡り、ツーリングスタート。人工的な感じさえするほどに、この川は20cmくらいの石が川底に均一に広がっている。『おいらは隠れ岩。カヌーが通ったら容赦はしないモンね』というのは皆無に近い。瀬でなければ居眠りも出来る。水が江の川以上に澄んでいるようだ。
 水の流れはあまりないが、順風が吹いており、パドリングは軌道修正のみにとどめ、ただただ流されてみた。 守内橋を過ぎて、左にカーブするこの区間最大の瀬。波は胸くらいまでの高さで、流芯に乗っていれば問題なし。ここを過ぎたあとのゆっくりとした流れの中で流されていると、なんと、カワセミを発見。はじめて目にした。右手前方の岩場に2羽とまった。青と山吹色で光沢があって、とても綺麗な鳥だ。さえずり声は、チュチュチュチュ・・・という高い声で、とても澄んでいる。カワセミってオス・メスともに同じ模様だっただろうか。まぁいいや、つがいと思いこむことにしよう。写真を撮りたかったが、カメラを構える動作で逃げられそうな気がしたので、息を殺して、じっと見守る。カヌーが20mくらいまで近づいたところでカワセミが飛び立った。感動の1分であった。余韻に浸っていると、アオサギがグェ〜と濁った声で鳴いて雰囲気を壊された。
 新幹線の下をくぐり、岩国城が見えてきたあたりで、錦川にはゴミが少ないなぁと考えていたら、その矢先に赤と白のマダラのゴミが沈んでいる。オイオイ、と思いながら近づくと、その正体は錦鯉。他にも金色の鯉が泳いでいた。カワセミの飛来といい、もう感激。このあたりから、しばらく止んでいた風が、今度は逆風でおそってきた。ゴール前が一番大変だ。錦帯橋の脇にある岩国城が見えていてもこの城がある山を回り込まなければならない。漕げども漕げども、ゴールまでの直線距離は縮まないのだ。
 ゴール地点には、やはり、たくさんの観光客がいて、そのうちの何人かは私にカメラを向けてている。上陸したら、『キャー、キャー』『サインして』『いつも応援してます』『CD買いましたよ』等の声がかかるものと思っていたら、一切なし。少し寂しい気もするが、よく考えてみたら私はCDを出していなかったので、これでいいのかもしれない。

 この川で気になったのは、時期的なものであろうが、ヤナが多いこと。この区間(12km)で4カ所もあった。全て艇から下りて右岸側からかわした。危険個所なし、釣り人8人。今まで経験した川の中で、一番のお気に入りになった。

根笠〜北河内 (2002年3月9日)

 プライベートで少々腹立たしいことが起こり、心を落ち着かせるために今回のソロツーリングを計画した。3年半ぶりの錦川で、今年の初漕ぎである。3月上旬というまだ寒い時期に川を下るのは、私としてはずいぶんと思い切った行為なのだ。幸運にも天気は上々で、4月上旬の頃の気温であるという。

 ツーリング区間は南桑からというのが一般的なようだが、もう少し上の根笠から下ることを勧めていたサイトがあったので、私もそれに従うことにした。シーズン始めというのは、なにかと準備不足があるもので、回送に使いたかった折り畳み自転車のタイヤの空気が減っていて、使えそうにないので、電車で回送することにした。根笠駅の下流側左岸に車を置き、川を下って北河内・行波・南河内のいずれかの駅まで下ることにした。水温の低さに辟易した場合には、早々の撤退もあり得る。電車回送というのは、このへんの曖昧さがいい。
 錦川を見るのは3回目であるが、その中では最悪の水質である。中国地方随一の水質を誇る川なのに、水深3mくらいまでしか見通せない。よくよく考えてみれば、3日ほど前にそこそこの雨量の雨が降ったのだ。どおりで水量が多いわけだ。でも、この日の水質が錦川の普通であったとしても、全国的に見れば清流と称されることだろう。

 瀬の下から11:00スタート。5か月の冬眠から目覚め、久しぶりの川である。結構ええ感じ。前回漕いだ区間と同様に、たいした瀬もなく、のんびりできるし、心も落ち着いていくのが分かった。アロマテラピーというものがあるが、これを引用するなら、リバーテラピーってとこか?
 スタートしてすぐの河原に、グラブナー製のダッキーを着け、熱心にゴミ拾いをしている方がいた。大きな袋2つにもなっている。声を掛けると・・・ 無視された。彼のゴミ袋には、パドラーを含め、キャンパーが残していったゴミも含まれているであろうから、私のことも敵対視されているのであろうか? ちょっと嫌な気分。
 2kmほど先に、この日最大の瀬が現れた。といっても、2級にも満たない小さなものだ。艇が波を越えるたびに、バタンバタンというボトムが水面を叩く音がする。ん〜、いい音だ。
 今回のツーリングでは初めて経験することがあった。艇上から見る大量のカモの乱舞だ。北へ戻る前の時期に川を漕いだことは、当然初めてではないが、この川では彼等の密度が高いようだ。

 調べていた電車の時間は、北河内駅が13:30と14:33と16:00。ここに14:10までに着けば、そこで上陸し、間に合わなければもうひとつ先の行波まで行き、電車を一本遅らせる、という予定を漕ぎながら考えたが、丁度14:10に北河内に到着した。急いで着替え、駅へ向かった。駅では、券売機も駅員もいなかったので、電車待ちの他の方にルールの説明を受けた。バスと同じく、降車時に整理券とお金を払うらしいのだが、「事故があって、電車は動かず、代替バスがでるらしい」との情報を得た。だが、バスも電車も来ず、15:00まで待ったところで、錦川鉄道に電話を掛けてみた。16:00の便からは正常に戻る、とのことであった。それなら、その案内があってしかるべきではないだろうか。電話の内容を他の5人の乗車予定客に伝え、私は散歩に出た。梅花の香りを楽しみ、あぜ道の花を探し、間伐展示林なるものを探検した。
 やがて電車が来て、根笠に戻る途中で、電車の車掌に事故の内容を聞いてみた。運行を管理するコンピューターの配線がトラブったとの事で、北河内駅で放送が流れなかったのもそのせいらしい。途中の駅で、私を無視したダッキー乗りも、艇を背負って乗りこんできた。いままで頑張ってたんだ・・・

 ここまでの11kmは釣り人ゼロ。ヤナもなく、下見やライニングダウンも不要で、快適なツーリングであった。

 車に戻って艇を回収し、温泉へ。車で1時間、島根県の木部谷温泉だ。移動では、錦川を遡っていくのだが、この辺でも川には水量もあり、しかも少々テクニカルで、ちょっと面白そうだ。私が知っている川で例えれば、水量のある板取川の上流部という感じ。今度はこいつとも勝負をつけなければ。絶対また来るぜ、錦川さん。
 木部谷温泉には30分ごとに1.5m吹き上がる間欠泉がある。内部に炭酸ガスが蓄積され、噴出するらしい。生涯はじめて目にする間欠泉だ。併設された温泉は、真っ茶っ茶。正月に行ってきた薩摩硫黄島の海の色もこうだった。湯の透明度はわずかに3cm!! 湧き出た無色透明の水(19℃しかない)に含まれた鉄分が酸化した色だ。カルシウムも豊富で、湯をしばらく動かさなかったら、表面が白くなってくるらしい。未確認だけど。
 入浴料は350円で、洗髪する場合は500円という料金であった。


(おわり)