しまんとがわ | 高知県西土佐村〜中村市 |
流域内人口密度 | 44人/平方キロ (渡川水系) |
リアルタイム水量 | 津野川 |
駐車場 | START 江川崎駅上流の公共駐車場 岩間の河原 口屋内の河原 鵜の江の河原 川登の河原 GOAL 赤鉄橋の下の河原 |
トイレ | 江川崎駅上流の公共駐車場 口屋内 |
買い出し | 江川崎のスーパー 口屋内の個人商店 中村市街 |
温泉 | 用井温泉 西土佐村山村ヘルスセンター(300円) ホテル星羅四万十(1000円) 平和な湯(600円) この値段なのにシャンプー類一切ナシ! しかも混雑 |
ひとこと | 日本最後の清流というキャッチフレーズで有名。カヌーツーリングの聖地ともされ、ファルト比率が高い。 江川崎以降であれば、水量が問題になることはない。 |
長文のわりに、リバーツーリングに関する記述が少ないので、ご注意を (^-^;
前日の仁淀川から移動し、土佐久礼駅にて他の仲間である4人プラス1匹と合流した。でくさん、月座さん、バジルさん、まいろさん、うじさん、犬のトビーの面々だ。トビーを除いて全員30代である。土佐佐賀町に立ち寄って、予約しておいた鰹のたたき体験。私はなまものが苦手なので、少々気後れがしたが、他の仲間は大満足だったようだ。スタッフも親切で、3150円とリーズナブルであった。
このあと中村市で、リバーツーリング中に消費することになるビア樽を3店で買い占めた。合計25リットルくらいになるだろうか。その後、四万十川スタート地点の江川崎に向かったのだが、途中からキョーレツな夕立。江川崎の河原でキャンプすると、増水が不安であったので、カヌー館のキャンプ場にテントを張った。ひとり350円。
江川崎〜赤鉄橋 39.6km 0.9‰ |
翌日は雨も上がり、気分爽快。食事を済ませ、テントを撤収していたところ、バジルさんが突然雄叫びをあげた。「パドル忘れたぁ!」 さすがである。バジルさんはこうでなくっちゃ。
カヌー館の開館を待って、パドルをレンタルし、ここの1km上流の河原からスタート。ゴールは中村か河口を予定しているが、4日間のツーリングのペース次第で流動的なので、車の回送はせず、バスで戻ってくる予定になっている。
今回、私は空気でふくらますイルカを同伴している。ダッキーと紐で結び、気分次第で乗り換えるつもりだ。イルカはできるだけ小さなものを選んだ。これにまたがったら左右にすぐ転倒するであろうから、リカバリーの練習にもなるのではないか、との読みである。
いざイルカを引きずって漕いでみると、イルカが重いのなんの。水の抵抗が半端ではないのだ。タダでさえ船足の遅いダッキーだというのに、これではファルトのみんなに付いていくことができない。イルカにまたがっても、V字に折れ、股間からイルカがすり抜けてしまう。他のパドラーからの注目を集めはするけど、全然使えない。結局数キロ引き連れただけで、空気を抜いてしまい、艇にしまい込んだのであった。
カヌー館のところにある橋の下が、今回のツアー区間最大の瀬になっている。最大とは言っても、級で表せば1級ということになるだろう。私は写真を撮るため最初に下り、瀬の横でカメラを構えた。私は瀬の中でのコース取りが違ったのだが、右岸から樹木が覆いかぶさり、それを抜けたところに岩があるらしいのだ。この岩を避けきれず、バジルさんの艇が張り付いてしまった。バジルさんは、今回友人から2人艇を安く譲り受け、みんなのビールを満載し、愛犬トビーも乗せていたのだ。緊急事態のバジルさんの元へ急いで駆けつけ、岩から艇を剥がそうとしたが、水圧が大きく、びくともしなかった。そこにでくさんも応援にやってきて、3人の力でなんとか引き剥がすことに成功。トビーと船体布の破れは無事であったが、フレームが数本曲がり、いくつかのアイテムが流出した。なかでも、テントのフレームを紛失してしまったのが痛い。
失意の中、そのまま河原で休憩を挟むことにした。座る位置を探していたバジルさんがバランスを崩し、河原に尻餅をついた瞬間、「パキッ」という音がした。音の正体は、先ほどレンタルしたばかりのパドルだ。ブレードが3角形に割れている。バジルさん、さらに落ち込む。
「覆水盆に返らずの法則(?)」により、軽くパスタを食べたりして、気力と体力を回復。気が付くと、スタートして1時間半が経過しても、まだカヌー館の横で停滞していたのだ。
気を取り直して再スタート。割れたパドルは、ファルトの補修用ガムテープを使って、修復してある。このあとは特になにも起こらず、目黒川の注ぎ込みで休憩。各自シュノーケルを取り出し、潜ってみた。でも少し濁っている。あまり面白くないので、近くの食堂へ行って昼食を摂った。
目黒川で一時間休んだあと、出発。口屋内まで漕ぐ予定であったが、時間がなくなり、岩間のあたりでキャンプとした。バジルさんのテントは、フレームがなくなってしまったので、パドルと紐で作った応急的なものである。
食事・焚き火のあと、いよいよ初体験のカワエビ漁だ。川に少し入ったあたりでヘッドランプをかざすと、エビの目がオレンジ色に光るのだ。それを目印に、エビ鉄砲というアイテムを使い、突く。20分くらいで全員合計して15匹くらいの収穫であった。私も2匹を採ったが、うじさんは6人中唯一の収穫ゼロ。私には才能がないんだ、と、かなり口惜しそうな様子であった。このエビを炒めたり、塩焼きにしたりして、胃袋に収めたあと、夜空を眺めた。この夜はペルセウス座流星群のピーク日であったのだ。午前1時頃が最も多く流れるらしい。空は、時折薄雲がかかるものの、天の川を識別できるほどに澄んでいる。流れ星に願いを3回唱えると、それが叶う、と言われるが、我々の間では、「カネ、カネ、カネ」が定番となっている。実用的で、早く言えるからだ。私は5回ほど流星を確認したが、呪文は上手くいかなかった。一度などは、慌てふためいて「ややや!」と言ってしまう。明日以降のツーリング中に矢が降ってくるようなことがなければいいのだが・・・ 23時頃に、雲がかかって星が見えなくなったので、そこまでにして眠りに就いた。
翌朝は大雨であった。テントから出ることさえままならない。食事の用意なんてもってのほか。各自がテントに籠もり逡巡していると、まいろさんとうじさんが、近くにある「老人憩いの家」のようなところの軒下を貸してもらえるよう交渉を済ませ、すでに素麺を作り始めているとのことであった。さすがである。
こうして、どうにか朝食を済ませたあと、天気を見計らいながらテントの撤収。天気予報では午後から晴れとのことであった。この日はうじさんが帰路に就くため、16時に口屋内を出発できるよう、15時にはそこへ到着しなければならないのだが、出発は結局昼前になっただろうか。
たいした瀬もないまま、無難にツーリングを終え、口屋内に到着。うじさんは片付けを始め、みんなは昼食を買い出しに行った。行きがけに、私とでくさんは沈下橋から飛び込んだ。
買い出しに立ち寄った店には何度か行ったが、実に無愛想な店であった。ビールの保冷用に氷を買ったのだが、クーラーに入れづらい大きさであったので、「割ってもらえますか」と言うと、「割りよらん」と、言われた。我々の間ではしばらく、この「割りよらん」が流行語となったのだ。買い出しから戻ってきてから沈下橋の下で食事をし、うじさんとはそこでお別れ。
残る5人でテントを張り、支流の黒尊川へ遊びに行った。河原から見た感じでは、かなりの透明度があるが、実際にのぞき込んでみると、やはり濁りがある。残念だ。目黒川と同じく、カヌーが下れるほどの水量もなかった。
テントに戻ると、同じ河原の隅に、ソロのファルトパドラーがテントを張っていた。普通のレジャーシートを、パドルを使って立て、タープにしている。その下で椅子に腰掛け、コーヒーか何かを手にしていたのだ。ものすごく旅慣れた感じで、「負けたぁ」と感じてしまった。四万十川のように本格ツーリングが出来る川には、このような達人が出没するようだ。
我々が食事の準備に取りかかると、また雨が降ってきた。テントに戻って休んでいると、雨が上がった。準備を再開すると、また雨。ということを5回くらい繰り返したあと、月座さんが英断をした。月座さんのテントは、インナーだけで、その上にフライシートの替わりにタープを張っていたのだが、テントを潰し、タープの下を共用場所にするべく、タープを張り直してくれたのだ。お陰で、雨の中でもなんとか食事をすることができたのだった。
うじさんに続いて、まいろさんともここでお別れとなる。朝食のあとまいろさんは荷物の整理を始め、残る4人と1匹は黒尊川を500m遡り、再び水遊び。このエリアの水質は素晴らしかった。写真も撮ったが、ページが重くなるので、公開してあげないのだ (^-^; でくさんはエビ鉄砲で、岩陰に潜むエビを狙っている。岩の裂け目から覗いているヒゲを見つけたら、顔が出てくるのを待てばいいらしいのだが、ヒゲを見つけるのが、でくさん以外には結構難しいのであった。RPGでいえば、でくさんは「エビ目を手に入れた」という状態になったのだ。
キャンプサイトに戻ると、まいろさんの身支度が終わっていた。彼女に別れを告げて、ツーリング再開。
日数が経ってくると、犬のトビーもカヌーに乗ることに慣れてきたようだ。コクピットから抜けだし、デッキの上に乗ってみたり、バジルさんの横をすり抜けて後ろへ回ったりしている。このトビーは、実はビールが大好きなのである。ビールの入ったカップに異常に興味を示し、ビールサーバーからしたたり落ちる滴を舐めたりもする。バジルさんの手の平からビールを分けてもらうときは、本当に嬉しそうだ。「ジョッキ一杯が致死量」といううじさんよりも、ビールの消費量は多かった。
また、トビーは追いかけられることも大好きなのだ。走って逃げ回ることに、相当な情熱を注いでいる。ただ、河原の石が熱いのも気にせず走り回っていたので、ついにはニクキューが火傷をしてしまったようだ。赤く腫れてしまい、時折自分の足裏を舐めたりしている。ツーリングレポートを書いている今頃は、もう完治しているだろうか。
勝間の沈下橋で、でく・月座・私の3人が飛び込む。ここの近くにビールの自販機があるので、買い込みたかったが、紙幣は千円札しか使えなかったので、脇で販売していたたこ焼き屋さんで1万円を出してお金を崩そうとした。しかしながら、釣り銭がないとのことで、店の人はどこかへ車を走らせて、釣り銭を作ってきたのだった。なんだか申し訳ない。このお釣りを使ってビールを買い込む。2つの銘柄を売り切れにした。これをクーラーバッグに入れ、さらに下流へ。鵜の江の少し上流に見事な河原を発見し、この日はここで泊まることにした。
テント設営のあと、恒例の水遊び。エビ筒と言われる仕掛けを、川漁師の方が設置に来たくらいなので、今夜の収穫には期待が持てそうだ。でくさんは早速エビ鉄砲を片手に、エビ目モードになった。
夜になってからもエビを探したが、イマイチであった。エビは、いるにはいるのだが、小粒揃い。撃ってしまうのが忍びないので、やめた。
この夜は確か木星食が見られる日だ。ただ、悲しいかな、誰も木星がどれだか知らないのだ。ま、いいか、ということで、就寝。
朝から晴天で気持ちがいい。今回のツーリングで丸1日降雨がなかったのは初めてだ。私はテントの耐水性能に少々不安があるので、雨が降らない夜というのは、心底有り難いのだ。
この日はいよいよ四万十最終日。中村まで行くのだ。江川崎〜中村は38kmであり、普通の人なら、1泊かせいぜい2泊の行程だと思うのだが、我々は3泊。どうだ、まいったか、という気になるが、そんなことで誰も参りはしないのである。
スタートしてすぐに、左手に「かわらっこ」という施設があり、キャンプ場やカヌースクールをやっている。この前でオロオロしている初心者パドラーを蹴散らし、我々はビールをカップに注ぎつつ突き進む。川登で一旦上陸し、最後の買い出し。河原に戻って西瓜を食べ、弁当は少し下流の、木が生い茂る狭い日陰の河原で済ませた。
このあと向かい風が強くなってきたように感じた。海が近くなったことを暗示しているようにも思ったのだが、海まではまだ10km以上あるので、単にその日の天候だったのだろう。この風と格闘しつつ、やっと中村の赤鉄橋に到着。車を取りに行くには、左岸に上陸した方が駅が近いので便利なのだが、右岸には素晴らしいキャンプ場がある。写真にある通りなのだが、このキャンプ場が無料なのだ。すごいではないか。
私とでくさんは、江川崎までバスに乗って車を取りに行き、留守番の月座さんとバジルさんは、テント設営係だ。バス代は、中村〜口屋内が850円、口屋内〜江川崎が300円で、合わせて1,150円であった。
キャンプ場に戻ったあと、サンリバー四万十(閉鎖された)の温泉でさっぱりしたあと、外食。「たにぐち」という、我々の間で口コミで広まった小料理屋である。4,500円の定食というのもあり、少々高いのだが、出てくる料理はそれに十分見合うものであり、満足感は高かった。ウナギがあんなに弾力があるものだとは・・・ 養殖物はダメだね、やっぱ。
達成感に満たされて就寝した。
当初のツーリング予定では、下手すりゃぁ河口まで行っちゃうぞ、コノヤロー、と思っていたので、その気分を味わいに、四万十川の河口を見に行った。私はここで3人とお別れ。私はこのあと、立ち寄りたいところがあるのだ。そして、でくさんは16〜17日の仁淀川2days、バジルさんはフェリーを使って埼玉へ、月座さんは電車で奈良へ、と、この日で4人はバラバラになったのであった。
(おわり)