四万十川カヌーツーリング(2001/8/12〜15)

しまんとがわ 高知県西土佐村〜中村市
流域内人口密度 44人/平方キロ (渡川水系)
リアルタイム水量 津野川
駐車場 START 江川崎駅上流の公共駐車場
岩間の河原
口屋内の河原
鵜の江の河原
川登の河原
GOAL 赤鉄橋の下の河原
トイレ 江川崎駅上流の公共駐車場
口屋内
買い出し 江川崎のスーパー
口屋内の個人商店
中村市街
温泉 用井温泉 西土佐村山村ヘルスセンター(300円)
ホテル星羅四万十(1000円)
平和な湯(600円)
 この値段なのにシャンプー類一切ナシ! しかも混雑
ひとこと 日本最後の清流というキャッチフレーズで有名。カヌーツーリングの聖地ともされ、ファルト比率が高い。
江川崎以降であれば、水量が問題になることはない。

長文のわりに、リバーツーリングに関する記述が少ないので、ご注意を (^-^;

8月11日

かつおを捌くまいろさん 前日の仁淀川から移動し、土佐久礼駅にて他の仲間である4人プラス1匹と合流した。でくさん、月座さん、バジルさん、まいろさん、うじさん、犬のトビーの面々だ。トビーを除いて全員30代である。土佐佐賀町に立ち寄って、予約しておいた鰹のたたき体験。私はなまものが苦手なので、少々気かつおのたたきなど後れがしたが、他の仲間は大満足だったようだ。スタッフも親切で、3150円とリーズナブルであった。

 このあと中村市で、リバーツーリング中に消費することになるビア樽を3店で買い占めた。合計25リットルくらいになるだろうか。その後、四万十川スタート地点の江川崎に向かったのだが、途中からキョーレツな夕立。江川崎の河原でキャンプすると、増水が不安であったので、カヌー館のキャンプ場にテントを張った。ひとり350円。  

 

8月12日(江川崎〜岩間) 

江川崎〜赤鉄橋 39.6km 0.9‰

 翌日は雨も上がり、気分爽快。食事を済ませ、テントを撤収していたところ、バジルさんが突然雄叫びをあげた。「パドル忘れたぁ!」 さすがである。バジルさんはこうでなくっちゃ。
 カヌー館の開館を待って、パドルをレンタルし、ここの1km上流の河原からスタート。ゴールは中村か河口を予定しているが、4日間のツーリングのペース次第で流動的なので、車の回送はせず、バスで戻ってくる予定になっている。

 今回、私は空気でふくらますイルカを同伴している。ダッキーと紐で結び、気分次第で乗り換えるつもりだ。イルカはできるだけ小さなものを選んだ。これにまたがったら出艇準備左右にすぐ転倒するであろうから、リカバリーの練習にもなるのではないか、との読みである。
 いざイルカを引きずって漕いでみると、イルカが重いのなんの。水の抵抗が半端ではないのだ。タダでさえ船足の遅いダッキーだというのに、これではファルトのみんなに付いていくことができない。イルカにまたがっても、V字に折れ、股間からイルカがすり抜けてしまう。他のパドラーからの注目を集めはするけど、全然使えない。結局数キロ引き連れただけで、空気を抜いてしまい、艇にしまい込んだのであった。

 カヌー館のところにある橋の下が、今回のツアー区間最大の瀬になっている。最大とは言っても、級で表せば1級ということになるだろう。私は写真を撮るため最初に下り、瀬の横でカメラを構えた。私は瀬の中でのコース取りが違ったのだが、右岸から樹木が覆いかぶさり、それを抜けたところに岩があるらしいのだ。この岩を避けきれず、バジルさんの艇が張り付いてしまった。バジルさんは、今回友人から2人艇を安く譲り受け、みんなのビールを満載し、愛犬トビーも乗せていたのだ。緊急事態のバジルさんの元へ急いで駆けつけ、岩から艇を剥がそうとしたが、水圧が大きく、びくともしなかった。そこにでくさんも応援にやってきて、3人の力でなんとか引き剥がすことに成功。トビーと船体布の破れは無事であったが、フレームが数本曲がり、いくつかのアイテムが流出した。なかでも、テントのフレームを紛失してしまったのが痛い。
 失意の中、そのまま河原で休憩を挟むことにした。座る位置を探していたバジルさんがバランスを崩し、河原に尻餅をついた瞬間、「パキッ」という音がした。音の正体は、先ほどレンタルしたばかりのパドルだ。ブレードが3角形に割れている。バジルさん、さらに落ち込む。
 「覆水盆に返らずの法則(?)」により、軽くパスタを食べたりして、気力と体力を回復。気が付くと、スタートして1時間半が経過しても、まだカヌー館の横で停滞していたのだ。

目黒川 気を取り直して再スタート。割れたパドルは、ファルトの補修用ガムテープを使って、修復してある。このあとは特になにも起こらず、目黒川の注ぎ込みで休憩。各自シュノーケルを取り出し、潜ってみた。でも少し濁っている。あまり面白くないので、近くの食堂へ行って昼食を摂った。四万十川ツーリング
 目黒川で一時間休んだあと、出発。口屋内まで漕ぐ予定であったが、時間がなくなり、岩間のあたりでキャンプとした。バジルさんのテントは、フレームがなくなってしまったので、パドルと紐で作った応急的なものである。
 食事・焚き火のあと、いよいよ初体験のカワエビ漁だ。川に少し入ったあたりでヘッドランプをかざすと、エビの目がオレンジ色に光るのだ。それを目印に、エビ鉄砲というアイテムを使い、突く。20分くらいで全員合計して15匹くらいの収穫であった。私も2匹を採ったが、うじさんは6人中唯一の収穫ゼロ。私には才能がないんだ、と、かなり口惜しそうな様子であった。このエビを炒めたり、塩焼きにしたりして、胃袋に収めたあと、夜空を眺めた。この夜はペルセウス座流星群のピーク日であったのだ。午前1時頃が最も多く流れるらしい。空は、時折薄雲がかかるものの、天の川を識別できるほどに澄んでいる。流れ星に願いを3回唱えると、それが叶う、と言われるが、我々の間では、「カネ、カネ、カネ」が定番となっている。実用的で、早く言えるからだ。私は5回ほど流星を確認したが、呪文は上手くいかなかった。一度などは、慌てふためいて「ややや!」と言ってしまう。明日以降のツーリング中に矢が降ってくるようなことがなければいいのだが・・・ 23時頃に、雲がかかって星が見えなくなったので、そこまでにして眠りに就いた。

8月13日(岩間〜口屋内)

雨中の朝食 翌朝は大雨であった。テントから出ることさえままならない。食事の用意なんてもってのほか。各自がテントに籠もり逡巡していると、まいろさんとうじさんが、近くにある「老人憩いの家」のようなところの軒下を貸してもらえるよう交渉を済ませ、すでに素麺を作り始めているとのことであった。さすがである。
 こうして、どうにか朝食を済ませたあと、天気を見計らいながらテントの撤収。天気予報では午後から晴れとのことであった。この日はうじさんが帰路に就くため、16時に口屋内を出発できるよう、15時にはそこへ到着しなければならないのだが、出発は結局昼前になっただろうか。

 たいした瀬もないまま、無難にツーリングを終え、口屋内に到着。うじさんは片付けを始め、みんなは昼食を買い出しに行った。行きがけに、私とでくさんは沈下橋から飛び込んだ。
 買い出しに立ち寄った店には何度か行ったが、実に無愛想な店であった。ビールの保冷用に氷を買ったのだが、クーラーに入れづらい大きさであったので、「割ってもらえますか」と言うと、「割りよらん」と、言われた。我々の間ではしばらく、この「割りよらん」が流行語となったのだ。買い出しから戻ってきてから沈下橋の下で食事をし、うじさんとはそこでお別れ。
黒尊川 残る5人でテントを張り、支流の黒尊川へ遊びに行った。河原から見た感じでは、かなりの透明度があるが、実際にのぞき込んでみると、やはり濁りがある。残念だ。目黒川と同じく、カヌーが下れるほどの水量もなかった。
 テントに戻ると、同じ河原の隅に、ソロのファルトパドラーがテントを張っていた。普通のレジャーシートを、パドルを使って立て、タープにしている。その下で椅子に腰掛け、コーヒーか何かを手にしていたのだ。ものすごく旅慣れた感じで、「負けたぁ」と感じてしまった。四万十川のように本格ツーリングが出来る川には、このような達人が出没するようだ。

 我々が食事の準備に取りかかると、また雨が降ってきた。テントに戻って休んでいると、雨が上がった。準備を再開すると、また雨。ということを5回くらい繰り返したあと、月座さんが英断をした。月座さんのテントは、インナーだけで、その上にフライシートの替わりにタープを張っていたのだが、テントを潰し、タープの下を共用場所にするべく、タープを張り直してくれたのだ。お陰で、雨の中でもなんとか食事をすることができたのだった。

8月14日(口屋内〜鵜の江)

 うじさんに続いて、まいろさんともここでお別れとなる。朝食のあとまいろさんは荷物の整理を始め、残る4人と1匹は黒尊川を500m遡り、再び水遊び。このエリアの水質は素晴らしかった。写真も撮ったが、ページが重くなるので、公開してあげないのだ (^-^; でくさんはエビ鉄砲で、岩陰に潜むエビを狙っている。岩の裂け目から覗いているヒゲを見つけたら、顔が出てくるのを待てばいいらしいのだが、ヒゲを見つけるのが、でくさん以外には結構難しいのであった。RPGでいえば、でくさんは「エビ目を手に入れた」という状態になったのだ。

 キャンプサイトに戻ると、まいろさんの身支度が終わっていた。彼女に別れを告げて、ツーリング再開。
 日数が経ってくると、犬のトビーもカヌーに乗ることに慣れてきたようだ。コクピットから抜けだし、デッキの上に乗ってみたり、バジルさんの横をすり抜けて後ろへ回ったりしている。このトビーは、実はビールが大好きなのである。ビールの入ったカップに異常に興味を示し、ビールサーバーからしたたり落ちる滴を舐めたりもする。バジルさんの手の平からビールを分けてもらうときは、本当に嬉しそうだ。「ジョッキ一杯が致死量」といううじさんよりも、ビールの消費量は多かった。
 また、トビーは追いかけられることも大好きなのだ。走って逃げ回ることに、相当な情熱を注いでいる。ただ、河原の石が熱いのも気にせず走り回っていたので、ついにはニクキューが火傷をしてしまったようだ。赤く腫れてしまい、時折自分の足裏を舐めたりしている。ツーリングレポートを書いている今頃は、もう完治しているだろうか。

 勝間の沈下橋で、でく・月座・私の3人が飛び込む。ここの近くにビールの自販機があるので、買い込みたかったが、紙幣は千円札しか使えなかったので、脇で販売していたたこ焼き屋さんで1万円を出してお金を崩そうとした。しかしながら、釣り銭がないとのことで、店の人はどこかへ車を走らせて、釣り銭を作ってきたのだった。なんだか申し訳ない。このお釣りを使ってビールを買い込む。2つの銘柄を売り切れにした。これをクーラーバッグに入れ、さらに下流へ。鵜の江の少し上流に見事な河エビ目のでくさん原を発見し、この日はここで泊まることにした。
 テント設営のあと、恒例の水遊び。エビ筒と言われる仕掛けを、川漁師の方が設置に来たくらいなので、今夜の収穫には期待が持てそうだ。でくさんは早速エビ鉄砲を片手に、エビ目モードになった。

 夜になってからもエビを探したが、イマイチであった。エビは、いるにはいるのだが、小粒揃い。撃ってしまうのが忍びないので、やめた。
 この夜は確か木星食が見られる日だ。ただ、悲しいかな、誰も木星がどれだか知らないのだ。ま、いいか、ということで、就寝。

8月15日(鵜の江〜中村)

 朝から晴天で気持ちがいい。今回のツーリングで丸1日降雨がなかったのは初めてだ。私はテントの耐水性能に少々不安があるので、雨が降らない夜というのは、心底有り難いのだ。
 この日はいよいよ四万十最終日。中村まで行くのだ。江川崎〜中村は38kmであり、普通の人なら、1泊かせいぜい2泊の行程だとビールを注ぐバジルさん思うのだが、我々は3泊。どうだ、まいったか、という気になるが、そんなことで誰も参りはしないのである。

 スタートしてすぐに、左手に「かわらっこ」という施設があり、キャンプ場やカヌースクールをやっている。この前でオロオロしている初心者パドラーを蹴散らし、我々はビールをカップに注ぎつつ突き進む。川登で一旦上陸し、最後の買い出し。河原に戻って西瓜を食べ、弁当は少し下流の、木が生い茂る狭い日陰の河原で済ませた。
 このあと向かい風が強くなってきたように感じた。海が近くなったことを暗示しているようにも思ったのだが、海まではまだ10km以上あるので、単にその日の天候だったのだろう。この風と格闘しつつ、やっと中村の赤鉄橋に到着。車を取りに行くには、左岸に上陸した方が駅が近いので便利なのだが、右岸には素晴らしいキャンプ場がある。写真にある通りなのだが、このキャンプ場が無料なのだ。すごいではないか。

 私とでくさんは、江川崎までバスに乗って車を取りに行き、留守番の月座さんとバジルさんは、テント設営係だ。バス代は、中村〜口屋内が850円、口屋内〜江川崎が300円で、合わせて1,150円であった。
 キャンプ場に戻ったあと、サンリバー四万十(閉鎖された)の温泉でさっぱりしたあと、外食。「たにぐち」という、我々の間で口コミで広まった小料理屋である。4,500円の定食というのもあり、少々高いのだが、出てくる料理はそれに十分見合うものであり、満足感は高かった。ウナギがあんなに弾力があるものだとは・・・ 養殖物はダメだね、やっぱ。
 達成感に満たされて就寝した。

8月16日


 当初のツーリング予定では、下手すりゃぁ河口まで行っちゃうぞ、コノヤロー、と思っていたので、その気分を味わいに、四万十川の河口を見に行った。私はここで3人とお別れ。私はこのあと、立ち寄りたいところがあるのだ。そして、でくさんは16〜17日の仁淀川2days、バジルさんはフェリーを使って埼玉へ、月座さんは電車で奈良へ、と、この日で4人はバラバラになったのであった。

(おわり)